セッション情報 一般演題

タイトル

肝外に突出する形態を呈し診断に造影エコー, 血管造影検査が有用であった巨大肝腺腫の1例

演者 李 宗南(日本赤十字社和歌山医療センター)
共同演者 松本 久和(日本赤十字社和歌山医療センター), 東 俊二郎(日本赤十字社和歌山医療センター), 野口 未央(日本赤十字社和歌山医療センター), 籔内 洋平(日本赤十字社和歌山医療センター), 太田 彩貴子(日本赤十字社和歌山医療センター), 信岡 未由(日本赤十字社和歌山医療センター), 岩上 裕吉(日本赤十字社和歌山医療センター), 三上 貴生(日本赤十字社和歌山医療センター), 津田 喬之(日本赤十字社和歌山医療センター), 三長 孝輔(日本赤十字社和歌山医療センター), 中村 文保(日本赤十字社和歌山医療センター), 谷口 洋平(日本赤十字社和歌山医療センター), 中谷 泰樹(日本赤十字社和歌山医療センター), 赤松 拓司(日本赤十字社和歌山医療センター), 瀬田 剛史(日本赤十字社和歌山医療センター), 浦井 俊二(日本赤十字社和歌山医療センター), 上野山 義人(日本赤十字社和歌山医療センター), 山下 幸孝(日本赤十字社和歌山医療センター)
抄録 [症例] 34歳、女性 [主訴] 腹部超音波検査で腹腔内腫瘤を指摘された.[既往歴] 特記事項なし.[家族歴] 父:慢性腎不全 [嗜好] 飲酒・喫煙なし、経口避妊薬の服用歴なし.[現病歴] 2010年8月前医で検診を受けた.腹部超音波検査にて左季肋部に肝外側区に接して径約90mm大の腫瘤を認め,同月下旬精査加療目的で当科を紹介受診した.自覚症状は認められなかった.[経過] 腹部Dynamic CTを撮像したところ肝腫瘤性病変は動脈相では濃染し平衡相ではややwash outされる所見が認められた.動脈相において発達した右肝動脈が腫瘤を取り囲む様にして血流を供給していた.腫瘤の中心部には放射状の低吸収域が認められ限局性結節性過形成(FNH)の可能性も疑われたが,血流の供給パターンは肝腺腫(HA)や肝細胞癌の可能性を疑うものであった.腹部造影MRI(Gd-EOB-DPTA)では鑑別は困難であった.鑑別のため,造影エコー検査(ペルフルブタン)・血管造影検査を施行した.造影エコーでは動脈相にて腫瘤周辺部より中心部に向かって強い造影効果が認められたが,造影効果はすぐに腫瘤辺縁部から減弱していきKupffer相では造影剤の抜けが確認された.血管造影では腫瘤辺縁部から中心部への供血パターンを呈していたため肝腺腫もしくは肝細胞癌の可能性が高いと考えられた.両者の鑑別は困難であったが、若年であり肝臓に明らかな基礎疾患が認められなかったのでHAの可能性を疑った.外科的加療を行ったところ病理診断は肝腺腫であった. [考察] FNHは悪性化することは稀で,経口避妊薬内服中あるいは妊娠中といった状況以外では増大することはほぼ無く経過観察が基本となるが,HAは8~13%と比較的高率に悪性化するとの報告があり、破裂,腹腔内出血のリスクを孕んでいることから外科的治療を中心とした積極的な治療が必要となることが多い.従ってこれらを鑑別することは臨床上非常に重要であると言える.本症例では造影エコーや血管造影検査といったモダリティーが鑑別に有用であったため若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 肝腺腫, 造影エコー