セッション情報 | ワークショップ1「上部消化器及び小腸出血における最近の動向」 |
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タイトル | 当院における出血性胃十二指腸潰瘍の内視鏡的止血困難例の検討 |
演者 | 間嶋 淳(京都第一赤十字病院 消化器科) |
共同演者 | 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器科), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院 消化器科), 豊川 優季(京都第一赤十字病院 消化器科), 中野 貴博(京都第一赤十字病院 消化器科), 小野澤 由里子(京都第一赤十字病院 消化器科), 北市 智子(京都第一赤十字病院 消化器科), 田中 信(京都第一赤十字病院 消化器科), 川上 巧(京都第一赤十字病院 消化器科), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器科), 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器科), 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器科), 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院 消化器科), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器科), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器科), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器科) |
抄録 | 【目的】出血性胃十二指腸潰瘍の治療において、何らかの理由により内視鏡的に止血しえずに第二選択の治療へ移行した症例(内視鏡的止血困難例)を経験することがある。これらの症例の検討を行い、内視鏡的止血困難例の治療方針に関する考察を行う。【方法】2007年4月から2011年2月まで(過去3年11カ月間)に当院にて加療した出血性潰瘍228例(男性154例、女性74例)を対象として、内視鏡的止血困難例の臨床的検討を行った。また、第二選択の治療法としてIVRの有用性・適応に関しても検討を行った。【成績】内視鏡的止血困難例は13例であった。止血困難理由として「3mm以上の太い露出血管」が原因であったのは7例、出血などによる「視野確保困難」が4例、「呼吸状態(全身状態)の悪化」が1例、「その他」が1例であった。抗血栓薬内服例は2例のみと少数であった。第二選択の治療として外科的手術を行った症例1例を除き、残り12例はIVRを選択した。手術、IVRとも止血率は100%であった。「太い露出血管」を理由にIVRを行った症例では7例中4例に血管造影で仮性動脈瘤を認めた。IVR後の合併症として、5例で潰瘍の拡大や新たなびらん認めたが、いずれも保存的に軽快した。血管造影で仮性動脈瘤を認めた症例は全体で6例あったが、IVRにていずれも合併症は認めなかった。【結論】内視鏡的止血困難例の第二選択治療としてIVRや外科的手術が挙げられる。IVRは手術と比較すると低侵襲とされ、今回のデータでは止血率も良好で、重篤な合併症も認めなかったため、第二選択の治療法として有用である可能性がある。特に内視鏡的に太い露出血管を認めている場合には、その背景に仮性動脈瘤があることが比較的多く、内視鏡治療に難渋することが予想される。逆に血管造影で仮性動脈瘤がある場合は、選択的な塞栓が行える可能性が高く、術後の合併症のリスクも低下すると考えられるため、こういった症例では積極的にIVRを行う適応であることが示唆される。 |
索引用語 | 止血, IVR |