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タイトル

メサラジン製剤による薬剤アレルギーを呈した潰瘍性大腸炎の2例

演者 冨江 晃(京都府立医科大学 大学院 消化器内科)
共同演者 小西 英幸(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 村上 高彬(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 鈴木 建太朗(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 堀江 隆介(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 和田 貴子(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 吉田 直久(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 鎌田 和浩(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 内山 和彦(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 高木 智久(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 半田 修(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 石川 剛(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 八木 信明(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 古倉 聡(京都府立医科大学 大学院 消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学 大学院 消化器内科)
抄録 【はじめに】潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の治療としては、メサラジン製剤が基本となるが、しばしばアレルギー反応を呈することで知られている。今回我々は、メサラジン製剤によると考えられる薬剤アレルギーを呈した潰瘍性大腸炎の2例を経験したので、文献的考察を含めて報告する。【症例1】40歳代男性。既往歴は2007年より閉塞性血栓性血管炎に対して加療中。2001年発症のぶどう膜炎を伴う潰瘍性大腸炎・全結腸炎型で、時間依存型メサラジン放出調節製剤(ペンタサ錠)内服を開始したところ腹痛、嘔気を認めアレルギー反応と診断した。また、アザチオプリン内服においても発熱、嘔気といったアレルギー症状を呈するため、メサラジン製剤に対する脱感作療法目的にて2011年1月入院となった。サラゾスルファピリジン錠0.25mg/日より開始、64mg/日まで漸増後退院、現在サラゾスルファピリジン錠1500mg/日に加えて抗TNFα抗体療法にてコントロール中である。【症例2】20歳代女性。2011年3月より腹痛、下痢、血便を主訴に近医受診。下部消化管内視鏡検査にて潰瘍性大腸炎・全結腸炎型と診断され、pH依存型メサラジン放出調節製剤(アサコール錠)の投与を開始されるも症状の改善を認めず、時間依存型メサラジン放出調節製剤(ペンタサ)注腸を併用された。その後、嘔気が持続し発熱も認めたため、潰瘍性大腸炎の重症化を疑いステロイド内服を開始され、排便回数は減少するも熱発が持続するため当院転院となった。入院後、強化顆粒球除去療法で腹部症状は安定しており、各種画像検査にて発熱の原因となる感染症を疑う所見を認めないため、メサラジン製剤による薬剤アレルギーを疑い両メサラジン製剤の投与を中止したところ2日目より解熱を得た。その後、潰瘍性大腸炎に関してはステロイド減量中であるが、大腸内視鏡検査にて寛解を確認している。尚、両メサラジン製剤のDLSTは陽性であった。【結語】潰瘍性大腸炎の病勢改善に関わらず発熱や腹痛、嘔気などの症状が持続する場合には、薬剤アレルギーの可能性も念頭において対応する必要があると考えられる。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 薬剤アレルギー