セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

十二指腸狭窄で発症し、診断に難渋した総胆管癌の1例

演者 齊木 浩二(市立豊中病院 消化器内科)
共同演者 山本 克己(市立豊中病院 消化器内科), 近藤 尚(市立豊中病院 消化器内科), 澤村 真理子(市立豊中病院 消化器内科), 印藤 直彦(市立豊中病院 消化器内科), 高橋 啓(市立豊中病院 消化器内科), 神下 真慶(市立豊中病院 消化器内科), 中堀 輔(市立豊中病院 消化器内科), 林 史郎(市立豊中病院 消化器内科), 澁谷 充彦(市立豊中病院 消化器内科), 市場 誠(市立豊中病院 消化器内科), 福井 浩司(市立豊中病院 消化器内科), 稲田 正己(市立豊中病院 消化器内科)
抄録 症例は74歳、男性。主訴は嘔吐。平成22年12月下旬頃より心窩部不快感が出現。近医受診し、上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃内に多量の残渣あり。同時期より食事摂取できず、嘔吐も出現するため平成23年1月初旬当院紹介され、精査加療目的にて入院となった。上部消化管内視鏡検査では、上十二指腸角付近から第二部にかけて全周性の狭窄が認められた。狭窄は高度であったが比較的軟らかい印象で、ファイバーの通過は可能であった。また、狭窄部粘膜の生検では悪性所見は認められなかった。CT、PET-CT検査では十二指腸下行脚周囲からGroove領域に軟部影が認められ、同部にFDGの淡い集積が認められた。腫瘍マーカーはCA19-9 57(<37)U/mlと軽度高値を認める以外、異常は認めなかった。Groove pancreatitisおよび膵胆道系腫瘍の可能性を考慮し、短期間の保存的加療にて経過観察の後、改善がなければ、手術を行う方針とした。1月下旬右背部痛が出現し、CT撮影したところ、右水腎症が認められた。その他、胆嚢管の壁肥厚と、総胆管合流部付近の総胆管の狭小化が認められた。同時に肝機能異常が出現し、閉塞性黄疸、胆管炎を認めたため、経皮経肝胆管ドレナージ術を施行した。胆汁細胞診では、悪性細胞は認められなかったが、CEA、CA19-9は急速な上昇を認めた。抗生剤治療と胆管ドレナージを継続するも、胆管炎は徐々に増悪傾向を認め、右胸水が出現した。胸水穿刺にて、ClassV、adenocarcinomaが認められたが、原発巣の同定には至らなかった。その後も対症療法を行ったが、全身状態悪化により、4月上旬、永眠された。病理解剖を施行したところ、総胆管癌、癌性腹膜炎、癌性胸膜炎、組織型は低分化型腺癌(印環細胞癌を含む)と診断された。我々は、十二指腸狭窄で発症し、診断に難渋した総胆管癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 総胆管癌, 印環細胞癌