セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

肝細胞癌の治療経過中に偶発的に発見された腸間膜線維腫症の一例

演者 吉田 裕幸(西神戸医療センター 消化器科)
共同演者 後藤 規弘(西神戸医療センター 消化器科), 荒木 理(西神戸医療センター 消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター 消化器科), 佐々木 綾香(西神戸医療センター 消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター 消化器科), 松森 友昭(西神戸医療センター 消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター 消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター 消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター 消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター 消化器科), 三村 純(西神戸医療センター 消化器科), 橋本 公夫(西神戸医療センター 病理科)
抄録 【症例】60歳代男性。【現病歴】2004年よりB型肝硬変で当院通院中であり、2005年に初発の肝細胞癌に対して肝動脈塞栓術を施行した。その後、再発病変に対して肝動脈塞栓術やラジオ波焼灼術を繰り返している。2011年2月、AFP 496.8 ng/ml、PIVKA-2 1250 mAU/mlと腫瘍マーカーの上昇を認め、腹部造影CTにて肝内再発病変と回盲部に6cm大の腫瘤を認めたため、同年3月に肝動脈塞栓術及び回盲部腫瘤精査目的で入院となった。【画像所見】造影CTでは回盲部腫瘤は中央が淡く造影されるのみで、辺縁部の造影効果はほとんど見られなかった。MRIでは腫瘤内部にごく少量の脂肪成分の存在が疑われた。下部消化管内視鏡検査では腸管内腔に異常所見を認めなかった。低分化型肝細胞癌の転移の他に、脂肪肉腫、線維腫症、虫垂原発腫瘍などが考えられ、回盲部切除術を施行した。【病理】腫瘍は好酸性で紡錘状の細胞の増生と細胞間の膠原繊維の介在を認め、脂肪細胞の異型性は見られず、線維腺腫と診断され、切除断端は陰性であった。線維腫症は高分化な線維組織から成り、悪性所見・遠隔転移は見られないが、局所浸潤・局所再発を認める腫瘍である。特に腸間膜から発生したものは腸間膜線維腫症と呼ばれ、通常、腹部腫瘤を自覚することが契機で発見されることが多い。また、腸閉塞や腸管穿孔、膿瘍形成で発症するケースもある。今回我々は、肝細胞癌の治療経過中にCTにて偶発的に回盲部腫瘤を発見し、肝細胞癌の転移との鑑別に苦慮した症例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腸間膜線維腫症, 肝細胞癌