セッション情報 一般演題

タイトル

MDSを合併したと考えられたクロンカイト・カナダ症候群の1例

演者 佐久間 洋二朗(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科)
共同演者 木村 典世(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 牟田 優(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 廣橋 研志郎(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 西川 義浩(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 渡辺 昌樹(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 熊谷 奈苗(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 加藤 洋子(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 工藤 寧(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 小田 弥生(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 山内 淳嗣(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 藤田 光一(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 吉野 琢哉(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 高 忠之(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 大橋 真也(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 浅田 全範(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 福永 豊和(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 川口 清隆(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科), 八隅 秀二郎(田附興風会 医学研究所 北野病院 消化器センター内科)
抄録 【症例】75歳女性【現病歴】2010年12月から下痢、味覚異常、脱毛が出現。1ヶ月間で3kg体重が減少した。近医の採血にてHb: 8.9 g/dl、Plt: 3.4×104/μlと貧血および血小板減少を指摘。1月20日、当科外来を紹介受診。腹部造影CTにて回盲部の壁肥厚を認めたため、血小板輸血をした上で下部消化管内視鏡による精査、生検をする目的に2月15日入院した。【既往歴】小脳梗塞、両側白内障手術【入院時現症】血圧:111/58 mmHg、脈拍:78回/分、体温:36.5 ℃。眼瞼結膜は貧血様。腹部は平坦軟。臍周囲に軽度の圧痛あり。頭髪と眉毛は脱毛著名。舌乳頭は萎縮。爪の変形や下肢浮腫は目立たなかった。Hb: 6.6 g/dl、Plt: 1.9×104/μl、WBC: 2700/μl、TP: 4.5 g/dL、Alb: 2.9g/dLと、汎血球減少および低栄養を認めた。【経過】入院当日に濃厚赤血球と血小板を輸血。下部消化管内視鏡にて回盲部を含め全結腸に多発ポリープを認め、生検にて過形成性変化を認めた。上部消化管内視鏡でも過形成性変化を伴う多発ポリープの所見であった。カプセル内視鏡も行い、終末回腸に多発ポリープを認めた。以上より、クロンカイト・カナダ症候群およびそれによる蛋白漏出性胃腸症と考え、プレドニゾロン30mg/日と栄養剤の内服加療を開始した。血球減少に対してはある程度の効果があり輸血の頻度が減少した。また、下痢の回数が減り頭髪や眉毛は増加したが、栄養状態は改善されなかった。ステロイド不応性のクロンカイト・カナダ症候群についてはエビデンスのある治療法が存在しないが、血球減少の原因としてMDSが疑われたこと、何らかの免疫異常が関与していると考えられたことからシクロスポリンの内服を開始した。シクロスポリンの血中濃度が安定した時点で退院し、現在外来で通院加療中である。【結語】今回、血球減少を伴ったクロンカイト・カナダ症候群の1例を経験した。血球減少の原因はMDSが疑われたが、検索した範囲ではMDSを合併したクロンカイト・カナダ症候群の症例報告は1例のみであった。今回、非常に稀な病態を経験したため、文献的考察を含めて報告する。
索引用語 クロンカイト・カナダ症候群, MDS