セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル

シスプラチン肝動注が著効した再発多発肝細胞癌の1例

演者 上野 綾子(大阪市立総合医療センター 肝臓内科)
共同演者 木岡 清英(大阪市立総合医療センター 肝臓内科), 中井 隆志(大阪市立総合医療センター 肝臓内科), 川崎 靖子(大阪市立総合医療センター 肝臓内科), 丸山 紘嗣(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 平松 慎介(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 末包 剛久(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 山崎 智朗(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 佐野 弘治(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 佐々木 英二(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 根引 浩子(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 佐藤 博之(大阪市立総合医療センター 消化器内科), 河田 則文(大阪市立大学大学院 肝胆膵内科)
抄録 症例は60歳代、男性。C型肝炎で加療中、肝細胞癌を発症し、平成9年に肝後区域切除を施行した。平成14年にC型肝炎に対してインターフェロンα2b・リバビリン療法を行うも無効であった。その後肝細胞癌再発に対して、平成15年:肝動脈塞栓術+経皮的エタノール注入療法、平成17年:経皮的マイクロ波凝固療法、平成18年4月:肝S8部分切除を施行した。平成18年10月のMRIで残肝に多発再発を認めたため、入院した。検査所見:AST:100IU/l, ALT:99IU/l, Alb:3.5g/dl, T-Bil:0.4mg/dl, PT:85%, AFP:76.2ng/ml, PIVKA-II:154mAU/ml。肝動脈造影では、肝両葉にびまん性に腫瘍濃染の多発を認め、門脈腫瘍栓も疑われたため、固有肝動脈より、シスプラチン100mgを動注した。その後、腫瘍マーカーの減少を認めたため、1ヶ月後に肝動脈造影を行い、腫瘍濃染の減少を確認し、2回目のシスプラチン肝動注を行った。さらに3カ月後に肝動脈造影を行い、腫瘍濃染の著明な減少を確認し、3回目のシスプラチン肝動注を行った。腫瘍マーカーも陰性化し、その後、4年経過するが、画像上も再発なく良好に経過している(初回治療後14年経過)。このように進行肝細胞癌に対してシスプラチン肝動注が著効する場合があり、当院のシスプラチン肝動注の治療成績とともに若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, シスプラチン