セッション情報 ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」

タイトル

ソナゾイド造影ハーモニックEUSによる膵腫瘍診断

演者 長谷川 義展(ベルランド総合病院 消化器内科)
共同演者 伯耆 徳之(ベルランド総合病院 消化器内科), 安 辰一(ベルランド総合病院 消化器内科), 山内 道子(ベルランド総合病院 病理診断科)
抄録 第2世代の超音波造影剤であるソナゾイドによる肝腫瘍診断は日常診療で広く使用されており、低音圧を利用するEUSではソナゾイド造影にてさらに精密な診断が期待される。今回我々は膵腫瘍診断におけるソナゾイド造影EUSの有用性について検討した。【方法】EUSスコープはOlympus社製GF UE260-AL5を使用し、超音波装置はAloka社製Prosoundα10を使用した。超音波モードはExtended Pure Harmonicを用い、メカニカルインデックス(MI)は0.35とした。ソナゾイドを被検者の体重に合わせ、0.015ml/kg静注後、連続的に超音波像を観察した。対象は2008年6月から2011年4月までの間にEUSを行ったIPMN214例のうち、内部に粘液や結節を疑う高エコーが見られ、ソナゾイド造影ハーモニックEUS(以下CEH-EUS)を行った106例と病理学的に診断可能であった充実性膵腫瘍48例のうちCEH-EUSを行った膵腫瘍26例(膵癌23例、神経内分泌腫瘍2例、soloid psuedopapillary neoplasm1例)である。【結果】ソナゾイドによるCEH-EUSを行ったIPMN106例では、全例で嚢胞腔と隔壁構造、嚢胞内に貯留した粘液が明瞭に判別され、8例が壁在結節であると判断された。このうち1例は手術を行いIPMN high grade dysplasiaであり、7例は経過観察中である。また充実性腫瘍のうち膵癌23例について、fundamental B-mode EUSでは18例が低エコー、辺縁不整、境界明瞭な腫瘤として描出されたが、5例において境界が不明瞭であった。CEH-EUSでは全例において腫瘍内部の染影効果が周囲膵実質よりも弱いhypovascular patternを呈し、内部に不整な血管と不均一な染影効果を認めた。腫瘍と周囲とのコントラストが明瞭になり、境界不明瞭な病変も明瞭な描出が可能となった。また染影パターンから膵癌と他の充実性腫瘍との鑑別が可能であった。【結論】ソナゾイド造影ハーモニックEUSはIPMNの壁在結節と粘液の鑑別に有用であった。また膵癌と他の充実性病変との鑑別に有用と考えられた。
索引用語 ハーモニックEUS , ソナゾイド