セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル

瀉血療法が著効したNASHの1例

演者 木下 大輔(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科)
共同演者 川崎 俊彦(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 茂山 朋広(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 秦 康倫(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 奥田 英之(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 宮部 欽生(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 豊澤 昌子(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 岸谷 譲(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科), 工藤 正俊(近畿大学医学部附属病院 消化器内科)
抄録 【症例】72歳女性。【既往歴】高血圧。【主訴】全身倦怠感。【現病歴】近医で高血圧症の加療を受けていたところ、全身倦怠感が出現し、肝機能検査の異常を認めたため、2010年5月21日に本院を紹介され受診した。GOT138 U/l、GPT252 U/lと上昇していたが、肝炎ウイルスマーカー、自己免疫のマーカーはすべて陰性であり、フェリチンが433 ng/mlと軽度の上昇を示すのみであった。また、腹部エコーでは脂肪肝を認めた。当初は薬剤性の肝障害を疑ったが、降圧剤を休薬しても肝機能は改善しなかったため、入院の上、肝生検を施行することとなった。なお、アルコール摂取歴はない。【入院後経過】肝生検の結果は、肝細胞は明胞性に腫大するとともにびまん性に腫大し、一部にMallory bodyが認められ、初期のNASHと診断した。【治療経過】NASHに確立した治療法はないが、本症例ではBMIが23.9%と肥満はなく、糖尿病もないため、食事療法の効果は薄いと予想した。フェリチン高値より瀉血療法を最初に選択した。1回200mlを月1回のペースで計8回の瀉血を行った。これにて、GOT、GPTは順調に下がり、2011年4月22日には、GOT39、GPT41まで改善した。今回、瀉血療法が著効したNASHの1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 NASH, 瀉血