セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル

当院における上部消化管異物除去術の検討

演者 田中 信(京都)
共同演者 戸祭 直也(京都), 小野澤 由里子(京都), 間嶋 淳(京都), 北市 智子(京都), 川上 巧(京都), 鈴木 隆裕(京都), 世古口 悟(京都), 中村 英樹(京都), 佐藤 秀樹(京都), 奥山 祐右(京都), 木村 浩之(京都), 吉田 憲正(京都)
抄録 【目的】消化管異物除去の治療の選択肢として内視鏡的除去術があげられる。内視鏡的除去術を施行した症例の臨床的特徴を検討し、同時に有効性と安全性を明らかにすること。【対象と方法】2006年11月から2011月5月までに当院で内視鏡的異物除去術を施行した84例(男性59例、女性25例)を対象とした。平均年齢は58.5(0~89)歳であった。異物の内訳は食物残渣40例、PTP11例、アニサキス8例、義歯、魚骨が4例、磁石3例、自歯、電池が2例、その他8例であった。部位は食道(梨状窩含め)56例、胃25例、十二指腸1例、不明1例であった。基礎疾患無しの症例が42例、基礎疾患有りの症例が42例であった。うち精神疾患が2例、肺病変が1例、神経疾患が1例、消化管疾患が38例であった。消化管疾患では良性疾患が7例、悪性疾患が31例であった。異物の大部分を占めた食物残渣とPTP症例を対象に臨床的特徴を検討した。【結果】分布は10代未満と60代の2峰性を示した。悪性疾患31例では食道癌が27例(胃癌4例)と最多であった。術後吻合部での閉塞が6例、非手術症例が21例であった。放射線化学療法施行後が14例と最多であった(ESD後瘢痕4例、腫瘍閉塞3例)。食物残渣症例では、基礎疾患なしが4例、基礎疾患ありが36例と差を認めた。PTP症例は全例で基礎疾患なしの症例であった。異物除去成功率は97.6%(82/84例)であった。合併症については食道入口部粘膜の裂創を認めた症例が6例(PTPが4例、自歯1例、魚骨が1例)であった。重篤な合併症については食道入口部直下で穿孔を来たした1例のみで保存的加療により改善した。【結語】上部消化管異物に対する内視鏡的異物摘出術は有効でかつ安全といえる。食道癌の放射線化学療法を施行した患者においては食物残渣による閉塞に注意を要し、また、先端が鋭利なPTPなどの誤飲では食道入口部での合併症に注意をはらう必要がある。
索引用語 異物除去, 食道異物