セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | CA19-9高値を呈した成人Tailgut cystの一例 |
演者 | 寺崎 慶(京都第一赤十字病院 消化器科 ) |
共同演者 | 佐藤 秀樹(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 陶山 遥介(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 豊川 優季(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 中野 貴博(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 小野澤 由里子(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 北市 智子(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 田中 信(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 間嶋 淳(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 川上 巧(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 鈴木 隆裕(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 世古口 悟(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 戸祭 直也(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 中村 英樹(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 奥山 祐右(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 木村 浩之(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 吉田 憲正(京都第一赤十字病院 消化器科 ), 永田 昭博(京都第一赤十字病院 病理部), 塩飽 保博(京都第一赤十字病院 外科), 佐藤 修(京都第一赤十字病院 放射線科) |
抄録 | 【症例】61歳、女性。2008年健診にてCA19-9 77.9U/mlと上昇を指摘されたため、同年12月腹部CT施行したところ、仙骨前面・直腸右背側に30×40×60mm程度のcystic massを認めた。また同時に、膵体尾部に14×11mm大の多房性腫瘤(IPMN)も認めた。MRIで精査したところ、cystic massはdermoid cyst、epidermoid cyst、Tailgut cyst等のdevelopmental cystが疑われた。Developmental cystは悪性化の報告もあるため、外科的に摘出する方針とした。摘出されるまでにCA19-9は徐々に上昇を認め、ピーク値で106U/mlまで上昇した。2009年4月摘出手術施行。摘出標本の病理結果にて、Tailgut cystと診断したが、悪性化の所見は認められなかった。術後の経過でCA19-9は徐々に低下傾向を認め、2011年1月の時点で37U/mlと正常値まで低下した。膵の病変に関しては著変なく経過している。【考察】Tailgutは胎生初期に一過性に存在し、直腸が排泄腔の背側部から形成されるにしたがって退行、消失する。Tailgut cystはTailgutの遺残に由来する嚢胞性病変であり、後直腸腔もしくは仙骨前腔に生じるdevelopmental cystのひとつであり、極めてまれな疾患である。今回の症例のようにCA19-9上昇を伴うTailgut cystに関しては十数例しか報告はなく、Tailgut cystとCA19-9との関連に関しては詳細は明らかではないが、消化管、胆膵系の悪性腫瘍病変の存在のみではなく、自験例のように良性腫瘍でも上昇来たすことがあり、Tailgut cystの診断に補助的な役割を担う可能性が示唆されたため、若干の文献的考察をふまえて報告する。 |
索引用語 | Tailgut cyst, CA19-9 |