セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 急激な経過をたどったガス産生性肝膿瘍の1例 |
演者 | 小野 洋嗣(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科) |
共同演者 | 板井 良輔(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 松本 善秀(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 山田 聡(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 木村 佳人(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 高田 真理子(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 三上 栄(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 住友 靖彦(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科), 山下 幸政(神戸市立医療センター 西市民病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は80歳、男性。糖尿病で近医にて加療中。平成22年9月下旬に頚椎症性脊髄症で当院の整形外科に入院となった。10月上旬に椎弓切除術を施行し、術後の経過は良好であった。10月13日の深夜に突然の上腹部痛が出現し、血液検査でWBC 13450 /μl 、CRP 1.0 /μlと上昇を認め、AST 96 U/l、ALT 29 U/l、γ-GTP 144 U/l、T-Bil 1.2 mg/l、Amy 1106 U/lと肝・胆道系・膵酵素の上昇も認めた。CTでは総胆管内の結石と膵周囲の脂肪織の不整を認め、総胆管結石・急性膵炎と診断し、翌10月14日に消化器内科に転科となった。同日に緊急でERCP、ESTを施行し総胆管結石除去術を行ったが、術中にショックに陥った。腹部CTを施行したところ、肝後区域にガス像を伴う径約7cmの巨大な膿瘍を認め、ガス産生性肝膿瘍と診断した。同日のERCP施行前の胸部レントゲンを見直すと、右季肋部にairを認めており、発症からERCPまでの短時間にガス産生性肝膿瘍に至ったものと考えられた。その後もショック状態は続き、急性腎不全や呼吸状態の悪化も出現したため、カテコラミンの投与、人工呼吸管理や血液透析を含む全身管理を行った。ガス産生性肝膿瘍に対しては、抗生剤の点滴投与、エコーガイド下膿瘍ドレナージを施行したが、敗血症、DICが改善せず多臓器不全にて第43病日に永眠された。ガス産生性肝膿瘍は予後不良な疾患である。今回我々は急激な経過をたどった一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 肝膿瘍, ガス産生 |