セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNAB)にて診断し得た十二指腸原発悪性リンパ腫の1例

演者 具  潤亜(神戸大学 医学部 消化器内科)
共同演者 塩見 英之(神戸大学 医学部 消化器内科), 安冨 栄一郎(神戸大学 医学部 消化器内科), 池川 卓哉(神戸大学 医学部 消化器内科), 小林 隆(神戸大学 医学部 消化器内科), 寺島 禎彦(神戸大学 医学部 消化器内科), 角山 沙織(神戸大学 医学部 消化器内科), 松木 信之(神戸大学 医学部 消化器内科), 坂井 文(神戸大学 医学部 消化器内科), 竹中 完(神戸大学 医学部 消化器内科), 田中 擴址(神戸大学 医学部 消化器内科), 増田 充弘(神戸大学 医学部 消化器内科), 藤田 剛(神戸大学 医学部 消化器内科), 久津見 弘(神戸大学 医学部 消化器内科), 早雲 孝信(神戸大学 医学部 消化器内科), 東  健(神戸大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は62歳女性。健診にて潜血反応陽性を指摘され、上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部に25mm大の粘膜下腫瘍様隆起を認められたため、精査加療目的で当科紹介となった。入院時現症、血液検査では特記すべき異常を認めなかった。腹部造影CTで、十二指腸下行脚に全周性壁肥厚を認め、十二指腸乳頭部に一致して腫瘤を認めた。腫瘤は比較的均一に造影され、周囲の十二指腸壁との境界は不明瞭であった。総胆管や膵管には拡張なく、腹腔内のリンパ節腫大も認めなかった。上部消化管内視鏡検査では、十二指腸下降脚の粘膜は粗造で微細顆粒状変化を認め、全体的に浮腫状であった。またVater乳頭は腫大していたが、胆管口、膵管口には異常を認めなかった。超音波内視鏡検査では、乳頭は低エコー腫瘤として描出されたが、その内部を胆管、膵管が貫通していた。また乳頭と連続する周囲の十二指腸壁は肥厚していた。ERCPでは、胆管や膵管に異常を認めなかった。以上より悪性リンパ腫を疑ったが、複数回の鉗子生検においても確定診断が得られなかったため、十二指腸乳頭部の低エコー領域に対して超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNAB)を施行した。病理結果はLow grade B-cell lymphomaであった。病期診断のためPET-CT施行したところVater乳頭部を含めた十二指腸下行脚、近位側の小腸とそれに連続する腸間膜にも集積が認められた。十二指腸原発Low grade B-cell lymphoma StageIIE FLIPI Low riskと診断し、治療はR-CHOP療法となった。6クール施行し、現在寛解が得られ外来で経過観察中である。消化管悪性リンパ腫の確定診断には内視鏡検査による鉗子生検が通常行われるが、今回の症例のように病変組織の採取が困難である症例も散見される。確定診断に際してEUS-FNABが有用であった症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 EUS-FNAB, 十二指腸原発悪性リンパ腫