セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 膵管ブラシ細胞診が診断に有用であった分枝型IPMC由来微小浸潤癌の一例 |
演者 | 池川 卓哉(神戸大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 塩見 英之(神戸大学 医学部 消化器内科), 安冨 栄一郎(神戸大学 医学部 消化器内科), 小林 隆(神戸大学 医学部 消化器内科), 寺島 禎彦(神戸大学 医学部 消化器内科), 角山 沙織(神戸大学 医学部 消化器内科), 松木 信之(神戸大学 医学部 消化器内科), 坂井 文(神戸大学 医学部 消化器内科), 竹中 完(神戸大学 医学部 消化器内科), 田中 擴址(神戸大学 医学部 消化器内科), 増田 充弘(神戸大学 医学部 消化器内科), 杉本 真樹(神戸大学 医学部 消化器内科), 藤田 剛(神戸大学 医学部 消化器内科), 久津見 弘(神戸大学 医学部 消化器内科), 早雲 孝信(神戸大学 医学部 消化器内科), 水野 成人(神戸薬科大学 医療薬学研究室), 土田 忍(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 松本 逸平(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 具 英成(神戸大学 医学部 肝胆膵外科), 東 健(神戸大学 医学部 肝胆膵外科) |
抄録 | 症例は66歳男性。2009年脳梗塞にて入院中、糖尿病・慢性腎不全の評価のために行った腹部CTで膵頭部に嚢胞性病変を指摘され、当科紹介された。超音波内視鏡(EUS)では、膵鈎部に主膵管と交通を有するぶどうの房状の約18mm大の嚢胞性病変を認め、分枝型IPMNが疑われた。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では、主乳頭は軽度開大しており、主膵管内には粘液を疑う透亮像を認め、膵鈎部に嚢胞が描出された。膵液吸引細胞診を施行するも、悪性所見は認めず経過観察とした。6ヶ月後に施行したEUSでは、形態やサイズに著変はなかったが、嚢胞内に結節様隆起が出現してきたため、再度ERPを施行した。膵管像は前回と比較して変化なかったが、拡張した分枝膵管の起始部主膵管よりブラシ細胞診を施行したところ、核腫大、核形不整のみられる異型細胞集塊を認め、腺癌と診断、当院肝胆膵外科にて膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本の病理診断は、微小浸潤を伴う分枝型IPMCで膵癌取り扱い規約では、Ph、TS2(22mm)、i-TS(7mm)、pT1、N0、M0 StageIIであった。IPMNは比較的予後のよい腫瘍とされているが、膵外浸潤や転移、あるいは他臓器への穿破を合併した場合には、通常の浸潤性膵管癌と同様で予後は悪い。そのため手術のタイミイングが重要であり、画像診断における手術適応の基準が示されているが十分とはいえず、細胞診の有用性が報告されている。今回われわれは、分枝膵管の起始部のブラシ細胞診が有用であった分枝型IPMC由来微小浸潤癌を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | ブラシ細胞診, 分枝型IPMN |