セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

急性咽頭炎から多発肝膿瘍を合併し、ドレナージが有効であった一例

演者 小和 貴雄(市立豊中病院)
共同演者 福井 浩司(市立豊中病院), 高木 邦夫(市立豊中病院), 中本 泰生(市立豊中病院), 中堀 輔(市立豊中病院), 神下 真慶(市立豊中病院), 高橋 啓(市立豊中病院), 印藤 直彦(市立豊中病院), 澤村 真理子(市立豊中病院), 山本 克己(市立豊中病院), 市場 誠(市立豊中病院), 稲田 正己(市立豊中病院), 渋谷 充彦(市立豊中病院), 保本 卓(市立豊中病院)
抄録 【症例】68歳男性【主訴】発熱【既往歴】脳出血(2004年)【現病歴】2011/2/14咽頭痛にて近医耳鼻科受診。2/17、咽頭痛が持続するため再度同耳鼻科受診し、扁桃腺炎との診断にて内服加療していた。咽頭痛は軽快したが、発熱、全身倦怠感が持続するため2/21当科受診となった。【身体所見】血圧131/82mmHg、脈拍87/分、体温38.5℃、口腔内扁桃腺腫大(-)、発赤(-)、Murphy(±)、右背部叩打痛(+)、上記以外に特記すべき所見なし。【血液検査】WBC 32200/μl、 AST 55IU/l、 ALT 71IU/l、 CRP 32.11mg/dl、 HIVAb陰性、赤痢アメーバ抗体陰性【生活歴】海外渡航歴(-)、同性愛(-)【画像検査】腹部エコーにて辺縁不整な低エコーmassが多発。カラードプラにて血流シグナル認めず。造影CT早期相にて肝臓内に最大径10~25mm大の辺縁不明瞭で、周囲がまばらに造影されるLDA多数散見。【経過】血液検査、画像検査から多発肝膿瘍の診断にて、2/21より抗生剤(塩酸セフォゾプラン)を開始するも、発熱、炎症反応は持続。2/26に抗生剤をメロペネムに変更するも改善せず。血液培養よりFusobacterium necrophorumを検出し、3/3よりスルバシリン、クリンダマイシンにde-escalationした。3/4造影CTにて肝膿瘍の増大を認めたため、エコーガイド下で肝膿瘍ドレナージ施行。膿瘍の培養から細菌は同定できなかったが、DNA検査より同菌の存在を確認した。3/25症状及び採血データの軽快を認めたため退院となった。【考察】本症例では咽頭炎が先行しており、血液培養、肝膿瘍から口腔内常在菌であるFusobacterium necrophorumを認めた。以上より咽頭炎から肝膿瘍を発症したと考えられる。本邦でも報告例は少なく、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 咽頭炎, 肝膿瘍