セッション情報 シンポジウム1「進行肝細胞癌に対する治療戦略」

タイトル

当院における進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療の現状

演者 日高 健太郎(大津赤十字病院 消化器科)
共同演者 近藤 雅彦(大津赤十字病院 消化器科), 西川 浩史(大津赤十字病院 消化器科), 河南 智晴(大津赤十字病院 消化器科)
抄録 【背景と目的】2009年5月、切除不能肝細胞癌にソラフェニブが保険適応となり、進行肝細胞癌に対する治療の選択肢が広かった。当院でソラフェニブを使用した切除不能肝細胞癌患者14症例について治療成績を検討し、報告する。【対象】2009年5月から2011年4月まで当院でソラフェニブを使用した14症例。年齢中央値 70.0歳(57-75歳)。男性:女性 10:4。ECOG PS 0 6例、1 7例、2 1例。背景肝疾患はB型肝硬変 2例、C型肝硬変 9例、アルコール性肝硬変 2例、NASH-肝硬変 1例、全例がChild A(Child-pugh スコア 5点:6例、6点:8例)。Stage 3 3例、4A 4例、4B 7例。肝外病変は肺転移 4例、骨転移 3例、リンパ節転移 1例、門脈腫瘍栓(VP3,4) 3例。【方法】ソラフェニブの初期投与量は800mg/日 12例、400mg/日 2例。使用基準に準じて投与し、11症例で有害事象のため、減量、中止が必要であった。投与期間中央値 127日間(7-411日、うち3例が1年以上)。1か月以上投与した症例で最も反応が得られた時点でのRECIST評価を行った。【結果】生存期間中央値は166日。治療効果はCRが0例、PRが1例、SDが6例、PDが6例、評価不能が1例であった。7症例でSD以上の腫瘍抑制効果を確認できた。胸椎転移、下半身対麻痺をきたした症例では、治療により腫瘍の縮小、麻痺症状の改善を認めた。有害事象としては手足症候群 9例、下痢 4例、高血圧 4例、脱毛 4例、皮疹 3例、倦怠感 3例、肝機能障害 2例、出血 1例、血小板減少 1例、発熱 1例であった。【結論】肝細胞癌に対するソラフェニブ治療は副作用による減量が多く見られたが、50%の症例で腫瘍抑制効果が確認でき、予後延長効果が示唆された。手足症候群などの副作用対策により、長期投与例が増え、更に治療効果の改善が期待される。今後、どのような症例にソラフェニブ治療の導入が望ましいかを検討し、報告する。
索引用語 ソラフェニブ, 切除不能肝細胞癌