セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
---|---|
タイトル | メサラジン投与中に間質性腎炎を発症した潰瘍性大腸炎の1例 |
演者 | 荒木 理(西神戸医療センター) |
共同演者 | 村上 坤太郎(西神戸医療センター), 佐々木 綾香(西神戸医療センター), 津田 朋広(西神戸医療センター), 後藤 規弘(西神戸医療センター), 松森 友昭(西神戸医療センター), 安達 神奈(西神戸医療センター), 島田 友香里(西神戸医療センター), 林 幹人(西神戸医療センター), 井谷 智尚(西神戸医療センター), 三村 純(西神戸医療センター) |
抄録 | 【症例】30歳代男性 【現病歴】10年前からの血便を主訴に当院外来を受診し,下部消化管内視鏡検査で潰瘍性大腸炎と診断され,メサラジン 4 g/日の内服を開始した.内服7日目より39℃台の発熱と腰背部痛が出現し,近医の抗生剤治療(LVFX)でも解熱しないため当院外来を受診した.炎症所見の上昇と尿中白血球増多から尿路感染症が疑われ,精査加療目的に入院となった.【検査】血清クレアチニンは入院時より徐々に上昇しており,尿中NAG,β2-ミクログロブリンはともに高値を示したため尿細管障害が疑われた.腹部超音波検査では両腎はやや腫大し,実質の輝度上昇を認めた.ガリウムシンチグラフィでは腎への有意な取り込み亢進は見られなかったが,腎生検では間質へのリンパ球を中心とする炎症細胞の浸潤を認め,急性間質性腎炎に矛盾しない所見であった.リンパ球幼弱化試験を施行したが,ペンタサ®,メサラジン®ともに陰性であった.しかし両者とも陽性率は疑陽性に非常に近い値を示していた.【経過】入院時より抗生剤投与(CTRX)を行ったが治療への反応は悪く,上記の臨床経過,検査所見よりメサラジンによる急性間質性腎炎を疑い,まずメサラジン内服を中止した.症状は徐々に改善したが,入院9日目の腎生検組織には炎症の残存が認められたため,入院12日目よりプレドニゾロン 20 mg/日の内服を開始した.以後症状は軽快し,現在は潰瘍性大腸炎も寛解導入することができている.【考察】メサラジンは炎症性腸疾患に対する治療薬として広く使用されている薬剤であるが,間質性腎炎発症の報告は少ない.今回我々はメサラジン内服により急性間質性腎炎を発症した症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | 間質性腎炎, メサラジン |