セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

肝細胞癌(HCC)を合併したAIH/PSC overlap sydromeの一例

演者 宮本 和明(市立池田病院 消化器内科)
共同演者 小来田 幸世(市立池田病院 消化器内科), 福田 和人(市立池田病院 消化器内科), 井倉 技(市立池田病院 消化器内科), 澤井 良之(市立池田病院 消化器内科), 大濱 日出子(市立池田病院 消化器内科), 宇都宮 大輔(市立池田病院 消化器内科), 水本 塁(市立池田病院 消化器内科), 牧野 祐紀(市立池田病院 消化器内科), 卜部 彩子(市立池田病院 消化器内科), 大西 孝典(市立池田病院 消化器内科), 松本 康史(市立池田病院 消化器内科), 中原 征則(市立池田病院 消化器内科), 厨子 慎一郎(市立池田病院 消化器内科), 今井 康陽(市立池田病院 消化器内科), 黒川 正典(市立池田病院 消化器内科), 高村 学(市立池田病院 放射線科), 丸川 太朗(市立池田病院 放射線科)
抄録 【背景】原発性硬化性胆管炎(PSC)は肝内、肝外胆管に原因不明の線維化による狭窄をきたし、胆汁うっ滞性肝障害を起こす疾患である。PSCは胆管癌の合併が多いとされているが、HCCの発症は比較的稀である。また、自己免疫性肝疾患である、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)やPSCはoverlapすることが知られている。今回、AIHの経過中にPSCのoverlap syndromeと診断し、その後HCCを発症した1例を経験したので報告する。【症例】症例は78歳の男性。1997年に肝障害にて入院歴あり、2005年3月に胸腹水貯留にて他院にて入院加療を受けた。退院後当院へ紹介受診され、2005年6月食道静脈瘤に対してEVLを施行。2007年3月血液検査にて肝酵素の再上昇を認めた。HBs Ag(-)、HCV Ab(-)、IgG 2343mg/mL、抗核抗体 40倍であり、肝生検を施行し、interface hepatitisやroset formationも認め、AIHと診断した。ステロイドによる加療を開始し、肝障害は改善を認めた。Followの腹部超音波検査にて肝内胆管の拡張を認め、MRCP、ERCにて肝内胆管に断続的な狭窄と数珠状の拡張がみられ、AIH, PSC overlap syndromeと診断した。2009年12月のdynamic CTにて肝S8に径33mm大のhypervascular tumorを認め、PIVKA-2 406AUm/mLと腫瘍マーカーの上昇もあり、肝細胞癌(Stage2,T2N0M0)と診断し、シスプラチンによるTAIを施行した。【結語】AIH、PSCなどの自己免疫性肝疾患はHCCの合併が比較的少ないとされているが、進行例はHCCのリスクグループと考えられており、定期的な腫瘍マーカーの検索や画像検査が必要であると考えられた。
索引用語 PSC, HCC