セッション情報 |
ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」
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タイトル |
膵低エコー性病変における造影エコーの役割および当科での膵疾患診断体系
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演者 |
蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 検診部 消化器検診科) |
共同演者 |
田中 幸子(大阪府立成人病センター 検診部 消化器検診科), 高倉 玲奈(大阪府立成人病センター 検診部 消化器検診科) |
抄録 |
【目的】当科では早期膵癌の発見および膵疾患の診断目的に膵に特化したエコー検査を積極的に行っている。造影USで悪性が疑われた場合はEUS-FNAまたはERCPを行い確定診断を行っている。また最近では造影EUSを行う機会も得た。今回当科での低エコー腫瘤を伴う膵病変における造影USの特徴を検討したので当科における膵疾患の診断体系も含めて報告する。【方法】2009年4月より2010年3月までに行った膵エコー検査2157件(延べ回数)中、低エコー腫瘤を呈した病変に対しSonazoidによる体外式造影USを行った105例のうち、最終診断が得られた64例について検討した。また造影EUSは2011年4月から5月までに行った3例について検討した。【成績】疾患別検討:浸潤性膵管癌ではhypo (vascular) 35例、iso 2例、IPMN由来浸潤がん1例ではhyper 、IPMC(膵管内)ではhypo 1例、hyper 2例、IPMNに合併し他部位良性結節ではhypo 1例、iso 1例、a vascular 1例、内分泌腫瘍ではiso 1例、 hyper 1例、内分泌癌 1例ではhypo、転移性膵癌(肺がん)1例ではhypo、悪性リンパ腫2例ではともにhypo、SCN1例ではhyper、膵内副脾1例ではiso、腫瘤形成性膵炎ではhypo 1例、iso 1例、慢性膵炎に合併した良性小結節ではhypo 6例、 iso 2例、hyper 2例であった。当科では上記症例のようなhypo vascularを呈した病変に対しては1cm以下の小さな病変であっても積極的にEUS-FNAまたはERCPを施行し確定診断を行う方針としている。また造影EUSを施行した3例のうちIPMN結節有症例では粘液との鑑別に有用であった。IPMC症例では結節部位が濃染され、膵癌症例で腫瘤域は濃染せず、非腫瘤部との差が明瞭になり穿刺時のルート決定に有用であると考えられた。【結論】膵腫瘤性病変の鑑別において造影USは有用であり、これら結果を参考にしたEUS-FNA, ERCPを用いた診断体系は膵癌の早期発見、膵腫瘤の確定診断に重要であると考える。また造影EUSは病変の描出能を向上するばかりでなく、FNA時の穿刺部位決定にも有用であることが示唆され、今後さらなる症例の蓄積が望まれる。 |
索引用語 |
造影US, EUS |