セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | IgG4関連硬化性胆嚢炎の1例 |
演者 | 岡山 千尋(滋賀医科大学 消化器内科) |
共同演者 | 稲富 理(滋賀医科大学 消化器内科), 森田 幸弘(滋賀医科大学 消化器内科), 神田 暁博(滋賀医科大学 消化器内科), 今枝 広丞(滋賀医科大学 消化器内科), 伴 宏允(滋賀医科大学 消化器内科), 児堀 綾子(滋賀医科大学 消化器内科), 望月 洋介(滋賀医科大学 消化器内科), 塩谷 淳(滋賀医科大学 消化器内科), 西村 貴士(滋賀医科大学 消化器内科), 馬場 重樹(滋賀医科大学 消化器内科), 佐々木 雅也(滋賀医科大学 消化器内科), 齋藤 康晴(滋賀医科大学 消化器内科), 辻川 知之(滋賀医科大学 消化器内科), 安藤 朗(滋賀医科大学 消化器内科), 藤山 佳秀(滋賀医科大学 消化器内科), 赤堀 浩也(滋賀医科大学 消化器外科), 塩見 尚礼(滋賀医科大学 消化器外科), 仲 成幸(滋賀医科大学 消化器外科), 谷 徹(滋賀医科大学 消化器外科), 石田 光明(滋賀医科大学 病理科) |
抄録 | 【症例】60歳男性【主訴】肝胆道系酵素上昇【現病歴】当院にて悪性リンパ腫治療後の経過観察中、2010年9月のPETにて膵に強いFDGの集積を認めたため当科受診。ERCPでは典型的な膵管狭細像を認めなかったものの、膵のびまん性腫大と血清IgG4高値より自己免疫性膵炎を強く疑った。膵腫大の自然消退があり経過観察中であったが、2011年2月食欲不振、体重減少の症状が出現し、血液検査にてAST 127IU/L、ALT 224IU/L、γGTP 533IU/Lと肝胆道系酵素上昇を認めた。CT、MRIにて肝外側区域の肝内胆管拡張、肝門部総胆管の狭窄およびDUPAN-2 460U/mL、CA19-9 178U/mL、Span-1 86U/mLと腫瘍マーカーの高値を認めたため、精査加療目的にて入院となった。【経過】PETでは以前は認めなかったFDGの集積を肝外側区域、肝門部、特に胆嚢底部に強く認めた。ERCPでは総胆管に狭窄を認め、IDUSにて同部位に胆管壁の比較的均一な肥厚を認めた。胆汁細胞診、胆管壁の生検からは悪性細胞は検出されなかった。胆管、胆嚢ともにIgG4関連病変を疑ったが、US、MRIにて胆嚢底部に腫瘤様病変と壁肥厚を認めたこと、腫瘍マーカー高値より胆嚢癌合併の可能性を完全には否定できなかったため、2011年3月腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。病理組織検査では胆嚢粘膜下にIgG4陽性形質細胞の著明な浸潤、閉塞性静脈炎を認め、IgG4関連硬化性胆嚢炎と診断した。また同時に施行した肝門部肝実質の肝生検では、門脈域中心に線維化とIgG4陽性形質細胞の浸潤を多数認めたため、胆嚢・胆管・膵病変を伴ったIgG4関連硬化性疾患と最終診断し、PSL30mg/日の投与を開始した。投与後、胆管狭窄・拡張像の改善、肝胆道系酵素・腫瘍マーカーの低下を認め、現在外来にてPSLの維持療法中である。【結論】近年IgG4関連硬化性疾患の概念が確立されつつあり、多臓器にわたるその多彩な病態が注目されているが、胆道・膵病変では悪性腫瘍との鑑別がしばしば問題となる。今回我々は、比較的稀とされる胆嚢病変を合併し、腹腔鏡下胆嚢摘出術にて確定診断を得たIgG4関連硬化性疾患の一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | IgG4関連硬化性疾患, 自己免疫性膵炎 |