セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 破裂性肝動脈瘤により胆道出血をきたした慢性膵炎の1例 |
演者 | 橋本 耕二(奈良県立奈良病院) |
共同演者 | 中谷 敏也(奈良県立奈良病院), 関 建一郎(奈良県立奈良病院), 澤田 保彦(奈良県立奈良病院), 佐藤 芳樹(奈良県立奈良病院), 神戸 大介(奈良県立奈良病院), 永松 晋作(奈良県立奈良病院), 松尾 英城(奈良県立奈良病院), 菊池 英亮(奈良県立奈良病院), 井上 正義(奈良県立奈良病院), 中川 裕之(奈良県立奈良病院) |
抄録 | [目的]慢性膵炎に合併する仮性動脈瘤は稀ではあるが、いったん破裂すると重篤な病態を呈し、致死率も高い。仮性動脈瘤の約半数は脾動脈に生じ、胃十二指腸動脈、膵十二指腸動脈がそれに次いでいる。肝動脈瘤からの出血の報告は比較的少ない。今回、我々は左肝動脈に生じた動脈瘤が胆管に穿破し、胆道出血をきたした慢性膵炎の1例を経験したので報告する。[症例]68歳男性。【主訴】腹痛とタール便。【既往症】48歳時に胆嚢摘出術。59歳と67歳時にアルコール性重症急性膵炎。63歳時に回腸angiodysplasiaからの出血のため小腸部分切除術。66歳時に胆道出血後の血餅による閉塞性黄疸で入院し、CT、IDUSなどを行ったが出血源を同定できなかった。【家族歴】特記事項なし。【嗜好歴】日本酒1日3合。【現病歴】アルコール性慢性膵炎、2型糖尿病のため当科に通院していた。平成23年2月末に腹痛とタール便を主訴に当科を受診した。意識は清明で、腹部は軟で圧痛を認めなかった。眼瞼結膜に著明な貧血を認めた。血圧は100/70mmHg、脈拍100/分で、Hb 3.8g/dlと著明な貧血を認めた。黄疸や肝機能異常はみられなかった。濃厚赤血球の輸血を行い、緊急上部消化管内視鏡を行ったところ十二指腸乳頭部から鮮血流出を認めた。膵胆道系の出血を疑い、腹部造影CTを行った。総胆管下部にhigh density areaを認めたため胆道出血を疑ったが、CT上、明らかな出血源を同定しえなかった。血管造影を行ったところ、肝A3に動脈瘤と、造影剤の血管外漏出を認めた。破裂性肝動脈瘤と診断しgelatin spongeによる塞栓を行った。以後、再出血を認めていない。[結論]慢性膵炎の経過中に胆道出血を認めた場合は、肝動脈瘤破裂の可能性も念頭におき、出血源の検索を行う必要がある。仮性動脈瘤からの出血が疑われる場合には血管造影を行い塞栓術を試みるべきである。 |
索引用語 | 慢性膵炎, 肝動脈瘤 |