セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
化学療法中に急激な転帰をとった食道癌術後再発による癌性心膜炎の一剖検例
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演者 |
櫛田 早絵子(兵庫県立がんセンター 消化器内科) |
共同演者 |
上田 大輔(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 三村 卓也(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 藤島 佳未(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 津村 英隆(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 坂本 岳史(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 飛松 和俊(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 山本 佳宣(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 津田 政広(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 西崎 朗(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 井口 秀人(兵庫県立がんセンター 消化器内科), 狛 雄一朗(兵庫県立がんセンター 病理診断科), 大林 千穂(兵庫県立がんセンター 病理診断科) |
抄録 |
【症例】61歳女性。主訴:嚥下困難。現病歴:2009年3月嚥下時違和感のためかかりつけ受診するも原因不明。食事困難となり、6月上部消化管内視鏡(EGD)にて全周性狭窄認め、生検にて扁平上皮癌であり、食道癌と診断された。7月当院紹介受診され、同月に開胸中下部食道噴門側胃切除術、亜全胃管を用いた後縦隔経路による再建が行われた(AeLt, 2T4(横隔膜)N0M0, stageIVa, Cur A)。 2010年2月PET-CTにて下行大動脈周囲の軟部腫瘤、心膜、及び右腋窩リンパ節への集積を指摘され、リンパ節生検にて食道癌再発と診断された。化学療法導入目的で3月当科入院となった。既往歴:関節リウマチにてプレドニゾロン5mg内服(入院前メソトレキセート、タクロリムス使用歴あり)。生活歴:飲酒、喫煙なし。身体所見:胸腹部手術創あり。表在リンパ節腫脹なし(右腋窩術創)。顔面浮腫、下腿浮腫なし。入院時検査所見:WBC 5800/μl, RBC 363万/μl, Hb 10.0g/dl, Ht 32.6%, Plt 30.8万/μl, TP 6.3g/dl, Alb 2.9g/dl, CRP 2.2mg/dl, SCC 4.7ng/ml。胸部X線:左肋骨横隔膜角鈍。入院後経過:第4病日、5-FU+CDDP療法開始したが、化学療法による嘔気軽快後も食物通過困難を訴えたため、第18病日にEGD施行したが通過障害を認めなかった。第24病日、胸腹部CT施行したところ、心膜播種の著明な増悪、両側胸水の増量、うっ血肝を認めた。第25病日心エコーでは、心膜癒着による壁運動制限を指摘され、収縮性心膜炎の所見であった。薬物治療を行ったが、その後、呼吸苦が出現し、脈圧低下、酸素飽和度低下が徐々に進行し、第29病日に永眠された。剖検では、扁平上皮癌は縦隔から心膜に浸潤し著明な肥厚がみられ、心筋にも連続的な浸潤があり、心嚢腔は狭窄していた。癌性心膜炎から心拡張障害を呈したものと考えられた。【考察】癌性心膜炎は、原発性は極めて稀で、乳癌、肺癌等からの転移、浸潤が多いとされるが、食道癌でも稀ながら報告される。文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 |
食道癌, 癌性心膜炎 |