セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | IgG4関連疾患の経過中に胆管癌を発症した1例 |
演者 | 堂原 彰敏(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室) |
共同演者 | 美登路 昭(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 大谷 絵美(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 古川 政統(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 才川 宗一郎(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 鍛治 孝祐(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 上嶋 昌和(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 沢井 正佳(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 吉田 太之(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 藤本 正男(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 山尾 純一(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 福井 博(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科学教室), 童 仁(奈良県立医科大学 消化器・小児外科・乳腺外科学教室), 庄 雅之(奈良県立医科大学 消化器・小児外科・乳腺外科学教室), 中島 祥介(奈良県立医科大学 消化器・小児外科・乳腺外科学教室) |
抄録 | 【症例】77歳,男性【主訴】黄疸【現病歴】平成18年に全身倦怠感,食思不振が出現した.近医にて,胆道系酵素上昇と膵頭部腫瘤を指摘され,当科紹介となる.精査の結果,IgG4関連疾患(硬化性胆管炎および自己免疫性膵炎)と診断し,プレドニゾロン(PSL)30mg/dayを開始したところ,胆道系酵素の低下を認め,画像所見も改善した.PSLを漸減し,平成20年5月からは,2.5mg/dayを維持量とした.平成22年2月の腹部CTにて中部胆管に限局性の壁肥厚が出現した.5月のMRCPでも中部胆管に限局した狭窄を認めたため,ERCPを施行したが,胆管に深部挿管できず,病理組織診断を得られなかった.Informed consentの上,PSLを15mg/dayに増量したが,胆管狭窄は改善せず,胆道系酵素は再上昇した.経過より胆管癌が疑われたが,精査加療を一時的に拒否され,近医での経過観察となる.11月になり黄疸が出現したため,当院入院となる.【入院時現症】体温38.0℃.眼瞼結膜に黄染あり,腹部は平坦,軟で右季肋部に腫大した胆嚢を触知,圧痛も認めた.【入院時検査】WBC 11600/μl,CRP 7.0mg/dl,AST 50IU/l,ALT 71IU/l,ALP 1487IU/l,T-bil 7.1mg/dl,HbA1c 10.0%,CEA 8.3ng/ml,CA19-9 674U/ml.腹部CT:中部胆管の壁肥厚や肝内胆管の拡張が増悪.【入院後経過】経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)を施行後,中部胆管の狭窄部位に対し,経皮的生検を行い,腺癌と診断した.画像検査にて病変は中部胆管に限局し,転移を認めなかったため,当院消化器外科にて胆管胆嚢切除,胆管空腸吻合術が施行された.切除標本の病理組織検査では,中部胆管を中心に腺癌細胞の浸潤性増殖を認め,背景にはリンパ濾胞形成を伴う形質細胞・リンパ球の細胞浸潤がみられた.免疫組織染色にてIgG4/IgGは50%以上であった.【まとめ】IgG4関連疾患の経過中に発症し,診断に苦慮した胆管癌の1手術例を経験した.IgG4関連硬化性胆管炎を背景に発症した胆管癌の報告は少なく,貴重な症例と考え報告した. |
索引用語 | IgG4関連疾患, 胆管癌 |