セッション情報 一般演題

タイトル

潰瘍性大腸炎に合併した虫垂粘液嚢胞腺癌の1例

演者 戸田 泰信(滋賀県立成人病センター 消化器内科)
共同演者 向 あかね(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 貴田 雅也(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 山本 修司(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 稲井 眞紀(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 石原 真紀(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 藤本 昌澄(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 河合 敏秀(滋賀県立成人病センター 消化器内科), 水田 和彦(滋賀県立成人病センター 消化器内科)
抄録 <症例>60代男性 <現病歴>排便回数の増加と便に赤い血液が混入するとのことで受診。<既往歴>特記すべきものなし。<家族歴>特記すべきものなし。<現症>178cm、75kg。血圧130/80mmHg、脈拍70/分、整。貧血なし。腹部は下腹に軽度圧痛を認めるのみ。直腸指診:腫瘤触れず。茶色軟便に赤い血液混入。痔核認める。<経過>下部内視鏡検査施行し、直腸からS状結腸にかけて連続性の粘膜病変を認めた。腹部CT検査により、虫垂に4.5cm嚢胞性病変、腸間膜・大網に小結節の散在、肝表面に軟部陰影を認めた。「左半結腸型の潰瘍性大腸炎、虫垂粘液嚢胞腺癌・腹膜播種」と診断。潰瘍性大腸炎の治療を施行しながら経過観察とし、下痢・下血症状は改善傾向にあった。約6カ月後、虫垂の病変に対し組織診断を兼ね回盲部切除予定で開腹術を施行した。開復すると、虫垂の病変は破裂しており、腹腔内にゼリー状の播種性病変多発していた。右半結腸および播種病変の一部切除した。術後縫合不全起こし再手術。その後も創離開など起こし治療に難渋。術後35日頃に下血出現しその後も消化管出血続いた。内視鏡検査にて小腸に地図状潰瘍の多発を認めた。最終的には消化管出血にて永眠された。サイトメガロpp65抗原陽性であり小腸病変はサイトメガロウイルス感染によるものと考えられた。<考察>潰瘍性大腸炎の長期経過において慢性の炎症を母地に大腸癌が合併するリスクがあることは知られている。本例は、慢性の排便異状はなく下血を主訴に受診され、左半結腸に連続性の粘膜病変を認め、CTにて、虫垂の嚢胞性病変と腹腔内への播種病変を認めた。外科的切除施行し、虫垂粘液嚢胞腺癌・腹膜偽粘液腫と診断した。潰瘍性大腸炎例での報告は極めて少なくその経過を報告する。
索引用語 虫垂粘液嚢胞腺癌, 潰瘍性大腸炎