セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
---|---|
タイトル | ソラフェニブによる多形紅斑に対して経口耐性誘導療法により内服継続しえた肝細胞癌の1例 |
演者 | 佐々木 綾香(西神戸医療センター 消化器科) |
共同演者 | 荒木 理(西神戸医療センター 消化器科), 村上 坤太郎(西神戸医療センター 消化器科), 津田 朋広(西神戸医療センター 消化器科), 後藤 規弘(西神戸医療センター 消化器科), 松森 友昭(西神戸医療センター 消化器科), 安達 神奈(西神戸医療センター 消化器科), 島田 友香里(西神戸医療センター 消化器科), 林 幹人(西神戸医療センター 消化器科), 井谷 智尚(西神戸医療センター 消化器科), 三村 純(西神戸医療センター 消化器科), 堀川 達弥(西神戸医療センター皮膚科), 久保 嘉靖(西神戸医療センター薬剤部) |
抄録 | 【はじめに】ソラフェニブは皮膚への副作用が多い薬剤であり,手足症候群は有名であるがその他多形紅斑,スティーブン・ジョンソン症候群等も報告がある.今回我々はソラフェニブによる多形紅斑型薬疹を来したが,経口耐性誘導療法にて継続投与が可能であった1例を経験したため報告する.【症例】60歳代男性.30歳頃にB型肝炎を指摘されたが血液検査は正常で定期的な通院は行っていなかった.5年前,突然の腹痛とショック状態にて当科へ救急搬送され,肝細胞癌(HCC)破裂と診断された.緊急肝動脈塞栓術を行った後,肝左葉切除術を施行した.その後,定期的に3ヶ月毎に画像診断を行うも5年間再発は認めていなかった.2011年1月の造影CTにて胃大弯周囲に8cm大の播種病変と,門脈腫瘍栓を伴う多発HCCを認めた.Child-Pugh Aであり,肝外病変を伴っていたため,ソラフェニブ800mg/日投与を開始した.投与12日目に全身に多形紅斑が出現した.皮膚生検を施行し,パッチテスト・DLSTともに陽性であったため,多形紅斑型薬疹と診断し,ソラフェニブ投与を中止した所,すみやかに皮膚症状は軽快した.患者本人の強い希望もあり,ソラフェニブ投与継続のために経口耐性誘導療法を施行することとした.200ng/日(通常投与量の1/400000)より開始し, 1日4回増量し,1日毎に10倍の濃度になるよう投与設計した(200ng/日,2mg/日,20mg/日・・・).10日間徐々に増量し,10日目にはソラフェニブ200mg/日投与が可能となった.軽度肝機能障害と手足症候群(Grade1)を認めたため,プレドニゾロン20mgを併用し,現在外来にてソラフェニブ400mg・200mgを隔日投与継続中であり,病変はRECIST評価にて現在SDである.【結論】ソラフェニブは多種の副作用により内服中止となる例も多い.遠隔転移を伴うHCCではソラフェニブに代わる有効な治療法に乏しく,できるだけ長期にソラフェニブを使用できることが長期生存につながる可能性がある.本症例のように多形紅斑をきたした症例でも内服継続のために経口耐性誘導療法は試みる価値があると考えられた. |
索引用語 | ソラフェニブ, 肝細胞癌 |