セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 肝細胞癌破裂に対する緊急TAE症例の検討 |
演者 | 恵荘 裕嗣(京都大学大学院医学研究科 消化器内科学) |
共同演者 | 坂本 梓(大阪赤十字病院 消化器科), 邉見 慎一郎(大阪赤十字病院 消化器科), 金 秀基(京都大学大学院医学研究科 消化器内科学), 齋藤 澄夫(大阪赤十字病院 消化器科), 西川 浩樹(大阪赤十字病院 消化器科), 喜多 竜一(大阪赤十字病院 消化器科), 岡部 純弘(大阪赤十字病院 消化器科), 木村 達(大阪赤十字病院 消化器科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器科), 千葉 勉(京都大学大学院医学研究科 消化器内科学) |
抄録 | [目的]肝細胞癌破裂による腹腔内出血症例はその多くが予後不良であり、破裂1ヶ月以内の高率な死亡率が報告されている。しかしその一方で、緊急TAEによる止血処置が成功し全身状態の安定化が図れた場合、長期生存し得る症例も認める。大阪赤十字病院消化器科でのこれまでの緊急TAE施行症例を用い、治療成績および予後因子について検討した。[方法]2004年1月から2010年までに肝細胞癌破裂による腹腔内出血にて当院へ入院し、止血目的で当日緊急TAEを行った28症例(年齢中央値73.5歳、男性19例、女性9例)を検討対象とし、生存率はKaplan-Meier法を用いて、短期予後/長期予後に寄与する因子は単変量解析を用いて検討した。[成績]破裂肝細胞癌の腫瘍径は1.5~15cmと様々であった。緊急TAEによる止血成功率は89.3%(25/28例)であった。TAEによる止血方法としてはジェルパート単独が13例、ジェルパート+Coilingが4例、スポンゼル単独が10例、スポンゼル+Coilingが1例であった。肝細胞癌破裂までに何らかの肝細胞癌治療歴を有する症例は13例、破裂による腹腔内出血にて初診となった症例は15例であった。全症例のTAE後生存期間中央値は60.0日で、1ヶ月生存率が60.7%、3ヶ月生存率が39.3%、1年生存率は25.5%であった。TAE後の短期予後(2ヶ月以上生存)には肝予備能因子(Child-Pugh score, PT(%))が寄与し、長期予後(1年以上生存)には肝予備能に加えて腫瘍因子(HCC Stage, HCCの片葉分布)が寄与していた。短期予後/長期予後ともに、プロトロンビン時間は予後因子として特に重要であった。[結論]肝細胞癌破裂症例の短期生存には破裂時の肝予備能が、長期生存には加えて肝癌進行度が重要であり、今回の結果はTAEの適応決定や治療戦略の検討の際に参考になると考えられた。 |
索引用語 | 肝細胞癌, TAE |