セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 保存的治療にて軽快した非閉塞性腸間膜虚血の一例 |
演者 | 武田 翔伍(大阪市立大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 大南 雅揮(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 田中 史生(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 杉森 聖司(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 鎌田 紀子(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 十河 光栄(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 町田 浩久(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 岡崎 博俊(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 【症例】80歳、女性【主訴】右季肋部痛【既往歴】C型肝硬変【入院後経過】食道静脈瘤の治療目的で入院したが、第2病日に急性胆嚢炎を発症した。抗生剤による保存的治療を施行したが、第3病日に敗血症性ショックを呈し、翌日にはDICに至った。DICの原疾患として胆嚢炎が考えられたため、腹部超音波検査を施行した。腹水の増加が認められ、腹水穿刺を行ったところ血性腹水を認めた。精査目的にて腹部造影CT検査を施行したところ、小腸全域~上行結腸の造影不良と浮腫を認め、腸間膜動静脈に閉塞機転を認めないことから、非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)と診断した。積極的に腸管壊死が疑われないこと、また全身状態が不安定であることから外科手術は行わず、保存的加療を施行する方針とした。NOMIに対しては、上腸間膜動脈の拡張目的でPGE1 500μg/日の持続静脈内投与を施行した。同時に抗生剤をSBT/CPZ 2.0g/日からMEPM 1.5g/日に変更し、免疫グロブリン5g/日 計3日間併用投与した。胆嚢炎・敗血症は保存的治療にて第15病日に軽快した。またNOMIに伴い麻痺性イレウスを生じたが、パントール500mg/日投与にて徐々に腸蠕動は改善し腸管浮腫も軽快、第22病日には腸管壊死に陥ることなくイレウスは解消された。【考察】NOMIは本症例のように循環血液量減少による腸管の低灌流から腸間膜動脈が攣縮し生じる。診断のGolden standardは血管造影であるが、全身状態を考慮し、今回は造影CTを選択した。敗血症性ショックにて血圧が低下し、腸管虚血を強く疑う所見を認めたことから、臨床的にNOMIと判断した。また小腸全域~上行結腸の虚血であったことから上腸間膜動脈の支配領域に影響が及んでいることが示唆された。腸管壊死に至っていないNOMIの治療として、塩酸パパベリンやPGE1の持続動注療法などが選択されるが、本症例ではPGE1(0.01~0.03μg/kg/min)持続静注を選択した。良好な治療効果が得られたことから、本症例の機序は一過性の腸管虚血であったと考えられる。【結語】今回我々は保存的治療にて軽快した非閉塞性腸間膜虚血の一例を経験したので文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 非閉塞性腸間膜虚血, NOMI |