セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 腫瘍辺縁に多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた通常型膵癌の1例 |
演者 | 諏訪 兼彦(関西医科大学 消化器肝臓内科) |
共同演者 | 高岡 亮(関西医科大学 消化器肝臓内科), 池浦 司(関西医科大学 消化器肝臓内科), 内田 一茂(関西医科大学 消化器肝臓内科), 島谷 昌明(関西医科大学 消化器肝臓内科), 三好 秀明(関西医科大学 消化器肝臓内科), 楠田 武生(関西医科大学 消化器肝臓内科), 栗島 亜希子(関西医科大学 消化器肝臓内科), 住本 貴美(関西医科大学 消化器肝臓内科), 松本 泰司(関西医科大学 消化器肝臓内科), 谷村 雄志(関西医科大学 消化器肝臓内科), 関 寿人(関西医科大学 消化器肝臓内科), 岡崎 和一(関西医科大学 消化器肝臓内科), 豊川 秀吉(関西医科大学 外科), 里井 壮平(関西医科大学 外科), 權 雅憲(関西医科大学 外科), 大江 知里(関西医科大学 病理科), 坂井田 紀子(関西医科大学 病理科) |
抄録 | 症例は61歳の男性。糖尿病で加療されていたところ、2009年4月に皮膚黄染と褐色尿に気付き近医を受診、血液検査と画像検査にて閉塞性黄疸と診断されたため当院に転院となった。造影CTでは膵頭部に径30mmの乏血性腫瘍を認め、その尾側の主膵管拡張と膵実質の萎縮がみられた。MRCPでは下部胆管に狭窄を認め、上流胆管は拡張していた。FDG-PETでは膵頭部腫瘍にSUV5.3の集積を認めたが、その他の部位に異常集積はみられなかった。ERCPでは主膵管は膵頭部で途絶しており、下部胆管は狭窄していた。ERCPの際におこなわれた胆管狭窄部からの生検や膵管ブラシ細胞診では悪性所見は得られなかったが、画像検査から遠隔転移を認めない膵頭部癌と診断し、膵頭十二指腸切除術をおこなった。切除された腫瘍の病理結果は中分化型の浸潤性膵管癌であったが、腫瘍辺縁では線維化のなかに多数のリンパ球や形質細胞の浸潤がみられ、リンパ濾胞の形成や閉塞性静脈炎も認められた。免疫組織学的にはIgG4陽性形質細胞は60/HPFと多数みられたが、血液検査では高IgG4血症は認められなかった。膵癌の辺縁部では、膵癌に対する反応や膵癌に随伴する炎症によって好中球やリンパ球の浸潤を認めることがあるが、まれに形質細胞浸潤をはじめとしたlymphoplasmacytic sclerosing pancreatistis(LPSP)に類似する所見がみられることがある。自己免疫性膵炎ではLPSPやIgG4陽性形質細胞の浸潤が特徴的な病理所見とされているため、ERCPやEUS-FNAで得られた膵癌辺縁の微小な組織では膵癌と自己免疫性膵炎の鑑別が困難となることがあると考えられた。 |
索引用語 | 膵癌, IgG4 |