セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | 進行胃癌にgastric emphysemaを合併した1例 |
演者 | 細本 宜志(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科) |
共同演者 | 宮部 欽生(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 木下 大輔(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 秦 康倫(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 奥田 英之(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 茂山 朋広(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 豊澤 昌子(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 岸谷 譲(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 川崎 俊彦(近畿大学 医学部 奈良病院 消化器・内分泌内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 附属病院) |
抄録 | 【症例】74歳、男性【主訴】食後頻回の嘔吐、上腹部痛【経過】2009年8月より進行胃癌の診断にて全身化学療法を施行していた。初診時には、胃前庭部大彎にtype3の腫瘍と多発肝転移を認めた。一旦CRに至るも2010年7月に肝転移の再発と癌性腹膜炎による腹水を認めた。以後も治療を継続していたが2010年12月中旬より吃逆、食後の嘔吐を繰り返すようになった。直近(2010年10月)の上部消化管内視鏡では前庭部腫瘍は瘢痕化していたがスコープ径と同程度な高度の狭窄を伴っていた。瘢痕狭窄による通過障害と考え点滴、経腸栄養剤による治療を行ったが徐々に嘔吐が頻回となった。2011年1月下旬に食事摂取困難、肺炎併発にて入院となった。入院時の胸部単純レントゲンにて右下肺野に浸潤影を認めるとともに、上腹部胃の輪郭に沿って線状の空気像を認めた。同時に撮影した腹部単純CTにて下部食道から前庭部大彎に全周性の胃壁内気腫像を認めgastric emphysemaと診断した。絶食、PPI投与、TPNなどの保存的加療にて、症状・気腫像は改善した。前庭部狭窄部のバルーン拡張を行うが経口摂取後の嘔吐は改善されなかった。その後肝転移増大による肝不全傾向、肺炎の増悪により2011年3月に永眠された。【考察】本症例は胃前庭部進行癌の再発性潰瘍を介し瘢痕狭窄から通過障害をきたし、胃内圧の上昇というmechanicalな機転によりgastric emphysemaを合併したものと考えられた。今回進行胃癌の治療経過中にgastric emphysemaという稀な合併症を経験したので文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 胃壁内気腫, 胃癌 |