セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 結腸憩室炎から胆嚢穿孔性腹膜炎を発症した一例 |
演者 | 高月 権治(若草第一病院) |
共同演者 | 北野 厚生(若草第一病院), 金 鎬俊(若草第一病院), 江口 次郎(若草第一病院), 山本 晃久(若草第一病院), 長野 青史(若草第一病院), 山中 英治(若草第一病院), 小田 道夫(若草第一病院), 北川 克彦(若草第一病院) |
抄録 | 【症例】78歳男性【主訴】心窩部痛【既往歴】35歳 肺結核、70歳 糖尿病、前立腺肥大症、2ヶ月前 急性胆嚢炎【現病歴】平成23年3月下旬に心窩部痛を認め当院受診するも、理学所見と単純CTから胆嚢炎は否定的であり経過観察としたが、翌日より全身倦怠感と発熱が出現し再診、T-bil2.5mg/dl、WBC9430/ul、CRP6.4mg/dlと異常値を認めたため、精査加療目的に入院となった。【入院時現症】意識清明、血圧131/68mmHg、心拍数92回/分、体温38.4℃、呼吸数24回/分、眼球結膜黄染(-)、眼瞼結膜貧血(-)、呼吸音正常、心雑音(-)、腹部平坦、軟、圧痛(-)、筋性防御(-)、反跳痛(-)【入院後経過】前回入院時に腹部単純CTにて胆嚢内及び一部胆管内にair像を認め、胆嚢消化管瘻が疑われ、手術も視野に保存的加療を行ったが、炎症所見、臨床症状が消退したため退院となった。今回は腹部CT上、肝弯曲部の結腸憩室炎疑いにて保存的治療を開始したが、入院当日深夜に、突然強い右側腹部痛が出現し、呼吸促迫、発汗著明、腹膜刺激症状を認めたため、結腸憩室穿孔からの汎発性腹膜炎の疑いで緊急手術となった。開腹時に胆汁様の腹水を中等量認めたが、腸液や便汁の腹腔内への流出は認めなかった。胆嚢と横行結腸肝弯曲部は大網で被覆され一塊となっており、結腸との癒着部に近い胆嚢底部の壁に穿孔と胆汁の流出を認め、右半結腸切除、胆嚢摘出術を施行した。切除標本では、胆嚢には結石や急性胆嚢炎の所見を認めなかったが、結腸憩室の粘膜は、粘膜下層の著明な線維化と壁肥厚を認め、炎症を繰り返していたと考えられた。術後経過は良好で術後11日で退院となった。【考察】大腸憩室炎を繰り返し、近接する胆嚢壁に炎症が波及し、穿通を来したと思われた。前回は保存的治療で瘻孔が自然閉鎖した可能性が高く、今回は再度結腸憩室炎を来たし、炎症が波及して胆嚢潰瘍を来たし、穿孔したと考えられた。【結語】胆石胆嚢炎から胆嚢結腸瘻を来す報告は散見するが、自験例は胆石及び有意な胆嚢炎の所見を認めず、結腸憩室炎が胆嚢に波及して胆嚢穿孔に至った可能性が示唆された。 |
索引用語 | 結腸憩室炎, 胆嚢穿孔 |