セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | 特徴的な画像所見を呈し、肝転移巣からのEUS‐FNAにより退形成癌と診断された1例 |
演者 | 大西 佐代子(近畿大学医学部消化器内科) |
共同演者 | 北野 雅之(近畿大学医学部消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学医学部消化器内科), 門阪 薫平(近畿大学医学部消化器内科), 宮田 剛(近畿大学医学部消化器内科), 鎌田 研(近畿大学医学部消化器内科), 今井 元(近畿大学医学部消化器内科), 坂本 洋城(近畿大学医学部消化器内科), 小牧 孝充(近畿大学医学部消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】膵退形成癌は膵腫瘍のなかでも比較的まれでかつ予後不良な組織型である。今回われわれは、EUS‐FNA後に病理組織診断で退形成癌と診断された1例を経験したので報告する。【症例】73歳、男性【主訴】水様便、体重減少【現病歴】体重減少と水様便を主訴に近医を受診し、腹部エコーにて膵鈎部に腫瘤を指摘されたため、精査加療目的で当科紹介となった。【経過】造影CTでは膵頭部に辺縁不整、内部不均一な低吸収で辺縁に造影効果を示す5cm程度の腫瘤を認め、十二指腸浸潤、胆管浸潤、多発肝転移、腹膜播種を有する膵頭部癌として診断された。EUSでは境界明瞭なlow、high混在した低エコー腫瘤であり、造影ハーモニックEUS(CH-EUS)では造影CTと同様に腫瘤辺縁の血流は豊富であった。膵腫瘤および肝左葉の転移巣に対してEUS‐FNAを行ったところ、両者ともに大小不同の異型性の目立つ核を有した不正形の異型細胞から構成されており、巨核細胞や明瞭で大型の核小体を有する核や核内封入体を呈した核など核異型、細胞異型の著名な細胞が多数確認され、膵退形成癌、肝転移と診断された。【考察】膵退形成癌は細胞形態により、巨細胞型、破骨細胞様巨細胞型、多形細胞型、紡錘細胞型に分類されるが混在するものも多いと言われており、本症例でもFNAの材料で巨核細胞や紡錘形を示す異型細胞が見られた。また、発見時には巨大な腫瘍であることが多く、周囲浸潤や他臓器転移を来していることが多い。画像所見上、境界不明瞭で周囲への浸潤傾向や中心壊死を示し、造影CTで病変辺縁に増強効果を示すという点が文献で報告されており、本症例と類似している。当院で経験した膵退形成癌の特徴について若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 膵退形成癌, EUS-FNA |