セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | pulmonary tumor thrombotic microangiopathy(PTTM)を合併した胃癌の一剖検例 |
演者 | 山口 大介(京都桂病院 消化器センター 消化器内科) |
共同演者 | 藤井 茂彦(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 日下 利広(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 糸川 芳男(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 田中 秀行(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 黒田 エリ子(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 吉岡 拓人(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 田中 泰敬(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 臼井 智彦(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 中井 喜貴(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 松村 和宣(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 畦地 英全(京都桂病院 消化器センター 消化器内科), 國立 裕之(京都桂病院 消化器センター 消化器内科) |
抄録 | 【症例】52歳女性。2010年10月に感冒様症状出現、改善しないため12月7日当院受診。CTにて肺野に顆粒状陰影と頚胸腹部のリンパ節腫大を認め、PETではリンパ節に集積を認めた。リンパ腫の疑いで2011年1月6日に頚部リンパ節生検施行し、病理所見は腺癌であり転移性腫瘍と診断した。1月16日には呼吸苦が増悪し、緊急入院。第2病日に原発巣精査のため上部消化管内視鏡検査を施行、胃体中部大弯に襞集中を伴う潰瘍性病変を認め、Gastric cancer 0-IIIと診断、生検ではAdenocarcinoma,por>tub2>sigであった。以上より肺病変は胃癌による癌性リンパ管症と考えた。第4病日には突然の血圧・脈拍の低下と呼吸不全を認め、肺塞栓や心筋梗塞が疑われ心臓カテーテル検査を施行。右冠動脈末梢に血栓を認めたが、肺動脈には血栓像認めず、末梢の先細りと肺高血圧を認めた。抗凝固療法を開始した上で、第6病日より癌性リンパ管症に対しMF療法(5-FU+Methotrexate)を開始した。呼吸苦は次第に改善し、週1回のMF療法を3回施行した。次第に頭痛が増強したため頭部MRIを撮影、多発脳転移、癌性髄膜炎を認め、第31病日より全脳照射を開始した。しかし第32病日より呼吸苦が増悪、造影CTでは胸部の顆粒状陰影や全身リンパ節腫大は改善傾向にあり、肺塞栓も認めなかった。第33病日にMF療法4投目を施行するも呼吸不全は急激に進行、第37病日に死亡された。剖検を行った結果、胃癌は深達度MPのT2N3で、両肺の小動脈に腫瘍塞栓及び血栓像・血栓の再疎通像を認め、PTTMの所見であった。また冠動脈の血栓は腫瘍塞栓であった。【考察】PTTMは肺動脈腫瘍塞栓像の特殊型であり、急速に進行する肺高血圧や肺性心を呈し、大部分が肺血栓塞栓症と診断されて抗凝固療法を施行するも治療抵抗性であり、数日で呼吸不全から死に至る。原発巣は胃癌が約6割で、組織学的には小動脈線維細胞性内膜肥厚と、血栓の器質化、再疎通像を認める。PTTMは比較的稀な病態で生前の診断は困難であるが、担癌患者の呼吸不全の鑑別として念頭に置く必要があると考えられ、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 胃癌, PTTM |