セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
---|---|
タイトル | HIVとの重複感染を認めた急性B型肝炎に対してエンテカビル短期投与により治療した一例 |
演者 | 牟田 優(田附興風会医学研究所 北野病院) |
共同演者 | 熊谷 奈苗(田附興風会医学研究所 北野病院), 木村 典世(田附興風会医学研究所 北野病院), 廣橋 研志郎(田附興風会医学研究所 北野病院), 西川 義浩(田附興風会医学研究所 北野病院), 渡辺 昌樹(田附興風会医学研究所 北野病院), 佐久間 洋二朗(田附興風会医学研究所 北野病院), 加藤 洋子(田附興風会医学研究所 北野病院), 工藤 寧(田附興風会医学研究所 北野病院), 小田 弥生(田附興風会医学研究所 北野病院), 山内 淳嗣(田附興風会医学研究所 北野病院), 藤田 光一(田附興風会医学研究所 北野病院), 吉野 琢哉(田附興風会医学研究所 北野病院), 高 忠之(田附興風会医学研究所 北野病院), 大橋 真也(田附興風会医学研究所 北野病院), 浅田 全範(田附興風会医学研究所 北野病院), 福永 豊和(田附興風会医学研究所 北野病院), 川口 清隆(田附興風会医学研究所 北野病院), 八隅 秀二郎(田附興風会医学研究所 北野病院) |
抄録 | 【緒言】わが国でHIV感染は増加を続けており、また急性B型肝炎も感染経路を同じくする事からしばしば重複感染が認められる。さらにHIV重複感染例では非感染例に比べて急性B型肝炎が慢性化しやすく肝硬変への進行も早いといわれており、肝炎治療の重要性が指摘されている。【症例】症例は29歳男性。増悪する全身倦怠感を認め近医受診したところ、肝酵素の上昇とHBs抗原陽性を指摘される。HIV抗体陽性であることから急性B型肝炎、HIVの重複感染と診断され当科入院となった。HBV genotypeはA、HBe抗原とIgM-HBc抗体が高度陽性で、HBV-DNA量は検出感度上限以上であった。HIV-RNAは1600 copy/mL、CD4陽性Tリンパ球は560/μLと正常範囲内でありHIV感染は急性期もしくは無症候期と考えられた。入院後安静加療を続けたが肝酵素は高値を維持しビリルビンも上昇を続けた。食思不振や倦怠感が増強するなど全身状態の悪化が危惧されたため、急性B型肝炎への治療介入が必要と考えられた。HIV感染に関しては治療適応に無いこと、多剤併用療法には免疫再構築症候群や薬剤性肝障害が懸念された事からエンテカビル単剤による治療を行なう事とした。HIVの薬剤耐性化を防ぐため投与期間は7週間とした。治療開始後肝炎は速やかに鎮静化しHBe抗体・HBs抗体が出現、HBV-DNA量も検出感度以下となった。またHIV-RNAも低値を維持し治療終了3ヶ月後HIV薬剤耐性試験ではM184変異は認められずラミブジンへの耐性もみられなかった。【考察】一般にHIVと慢性B型肝炎の重複感染においては耐性化の問題から多剤併用療法が推奨される。しかしながら急性B型肝炎との重複感染での核酸アナログ短期投与に関しては適応や投与期間など一定の見解は得られておらず、さらなる症例の蓄積が必要と考えられた。今回、HIVと急性B型肝炎の重複感染に対してエンテカビルにより治療した一例を経験したので若干の文献的考察を交え報告する。 |
索引用語 | 急性B型肝炎, HIV |