セッション情報 一般演題

タイトル

食道癌壁内転移再発の一例

演者 南野 弘明(大阪市立大学大学院 消化器内科学)
共同演者 町田 浩久(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 大南 雅揮(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 中山 佐容子(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 福永 周生(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 永見 康明(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 杉森 聖司(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 岡崎 博俊(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学大学院 消化器内科学)
抄録 【症例】60歳代男性。20XX年12月、摂食時に口腔内痛を自覚し受診した近医で口腔底癌を指摘され、当院を紹介となった。 重複癌精査中に食道表在癌(臨床診断SM深部浸潤)と診断されたが、進行度から口腔底癌治療後に食道癌手術の方針となった。口腔底癌に対しS-1+CDDP併用療法を施行後、翌年3月に口腔底癌根治手術を施行された。その後、食道表在癌術前検査として上部消化管内視鏡検査(EGD)施行したところ、食道表在癌が縮小していたため同年7月内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した。切除標本の病理診断は、pT1a-EP,ly0,v0,HM0,VM0で、根治度Aと判断し経過観察とした。ESD後3カ月のEGD上、ESD後潰瘍瘢痕部の口側、長軸方向、非連続性に5mm大の2つの粘膜下腫瘍様隆起を認めた。同部位からの生検診断は扁平上皮癌であり、食道癌壁内転移再発と診断した。また腹部CT検査では胃噴門部に19mm大のリンパ節腫大を認めた。追加治療としては外科手術ではなく化学放射線療法を希望され、加療目的で入院となった。【入院時現症】身体所見・血液生化学所見ともに、特記すべき事項はなかった。【経過】入院時診断は食道癌壁内転移再発(CT, EMR- cT2, N2, M0, IM1, cStageIII)とした。術前口腔底癌に著効したS-1(80mg/m2)+CDDP(60mg/m2)に放射線(total 61.4Gy)を併用し、2コース終了時の治療効果判定ではCRであった。現在有害事象なく3コース目を施行中である。【考察】食道癌に特徴的な伸展形式である壁内転移は、上皮下にリンパ管を経て主癌巣と離れた壁内に非連続性に発育増殖を示し、粘膜下腫瘍様の形態を呈することが多い。またリンパ節転移の高度な症例に多く、重要な予後不良因子の1つとされている。今回我々は、頭頸部癌に対する化学療法で縮小した食道癌に対し内視鏡治療を施行後、壁内転移を契機に再発と診断し、化学放射線療法を追加し良好に経過した症例を経験したので、若干の考察を加えて報告する。
索引用語 食道癌, 化学療法