セッション情報 ワークショップ2「膵腫瘍性病変の診断と治療」

タイトル

当科における通常型膵管癌に対する細胞診・生検診断の現状

演者 松田 史博(大阪赤十字病院 消化器科)
共同演者 岡部 純弘(大阪赤十字病院 消化器科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器科)
抄録 【目的】当科における通常型膵管癌に対する細胞診及び生検診断の現状について検討した。【対象・方法】2008年11月から2011年5月までに通常型膵管癌と臨床診断された64例を対象とした。平均年齢69.8歳。男35例、女性29例。原則として、初診時に閉塞性黄疸を来していた症例は、内視鏡的胆道ドレナージ術を優先し、同時に経乳頭的細胞診、組織診を施行した。また、肝転移を伴う症例は、経皮的肝生検を第1選択とした。これらいずれも認めない症例や、他の手法で偽陰性が疑われる症例に対して、超音波内視鏡下穿刺生検法(EUS-FNAB)を施行した。全体としていずれかを施行したのは56例であった。【結果】全ての手法を合わせた感度は、94.6%(53/56)、特異度100%であった。各々の感度は、胆管ブラシ擦過 55.6%(10/18)、胆管生検 38.9%(7/18)、胆汁吸引細胞診 75%(3/4)、膵液吸引細胞診 40%(2/5)、膵管生検 50%(1/2)、EUS-FNAB 100%(24/24) 、肝生検 100%(8/8)であった。初診時に閉塞性黄疸を来していた21例の内、経乳頭的手法で診断に至らなかったのは5例であり、4例はEUS-FNAB、1例は肝生検が施行され、病理学的診断が可能となった。【結語】様々な手法を組み合わせることにより、通常型膵管癌に対する病理学的な診断能の向上がみられ、治療方針の決定に有用と考えられた。
索引用語 膵管癌, EUS-FNAB