セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 内視鏡にて止血し得た多発小腸憩室出血の1例 |
演者 | 白川 裕(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科) |
共同演者 | さか本 喜雄(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科), 塩澤 寛子(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科), 小池 隆史(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科), 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センタ- 消化器内科), 延原 正英(兵庫県立加古川医療センタ- 放射線科), 石田 淳(兵庫県立加古川医療センタ- 放射線科) |
抄録 | 【症例】74歳女性【主訴】下血【既往歴】68歳 高血圧【現病歴】2010年10月11日に下血を主訴に近医に入院した。入院後、血液が少量混入した嘔吐を頻回に認めたため緊急上部内視鏡検査を施行したが、明らかな出血源は認められなかった。翌日ダイナミックCTを施行したところSMAからの造影剤漏出を認め小腸出血と診断され、精査加療目的に当院消化器内科へ転院となった。【経過】前医ですでに濃厚赤血球(RCC)4単位を投与されており、当院搬送時にはVitalは安定していたがHb7.2と著明な貧血を認めたため、RCCを投与しながら緊急血管造影検査を施行した。SMA造影で空腸第1枝から造影剤の血管外漏出を認めたため同部位をcoil embolizationした。入院当日はRCCを合計4単位投与しHb9.6まで上昇を認めた。その後絶飲食、補液、鉄剤等投与にて経過をみていたが再びHb7.8まで低下してきたため同部位からの再出血を考え、第7病日に小腸内視鏡検査を施行した。内視鏡ではトライツ靭帯を越えた上部空腸に大小の憩室が多発しており、一部憩室内に凝血塊が付着している部位を認めた。X線透視によりcoil留置部位と同部位であることを確認し凝血塊を吸引除去したところ露出血管が認められた。この時点で出血はなかったが経過から出血源と判断し同部位に3個のクリッピングを施行した。その後、Hbは徐々に上昇し、食事開始後も貧血の進行は認めず第19病日に退院となった。【考察】今回、我々は血管塞栓術により1次止血は成功したが再出血をきたし、小腸内視鏡を用いて止血することができた小腸憩室出血の1例を経験した。比較的稀とされている多発性小腸憩室からの出血に対して保存的に止血できた貴重な症例と考え、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 小腸憩室出血, 小腸内視鏡 |