セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル

術後多発腸管皮膚瘻にアダリムマブが著効したクローン病の一例

演者 上山 美希(大阪市立大学医学部附属病院 卒後臨床研修センターDELIMITER大阪市立大学 大学院 腫瘍外科)
共同演者 鎌田 紀子(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 森本 謙一(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 野口 篤志(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 十河 光栄(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 山上 博一(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 渡辺 俊雄(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 富永 和作(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 藤原 靖弘(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大学 大学院 消化器内科), 永原 央(大阪市立大学 大学院 腫瘍外科), 前田 清(大阪市立大学 大学院 腫瘍外科), 平川 弘聖(大阪市立大学 大学院 腫瘍外科)
抄録 【症例】30歳代男性。【現病歴】18歳時にクローン病(小腸大腸型、痔瘻)と診断された。2003年に腹痛、炎症反応増悪に対してインフリキシマブ(IFX)開始となり内科的加療されていたが、次第に効果減弱となり、2005年に腹痛コントロール不良のため回腸部分切除術施行となった。その後5アミノサリチル酸、6MP、栄養療法を中心にフォローされていた。2007年に症状再燃し、IFX再投与となるもアナフィラキシー症状出現したため中止。以後、仕事が忙しく通院も不定期で内服コンプライアンスも不良であった。2009年8月、突然の腹痛にて当科外来を受診され、盲腸穿孔にて緊急手術が施行された。術後は腹腔内膿瘍・複雑瘻孔・腸管皮膚瘻を合併し、経過不良であったため、同年9月に再手術(腹腔内ドレナージ、回腸人工肛門造設、小腸部分切除、回腸チューブ式瘻孔形成術)が施行された。2010年6月、38度台の発熱持続・倦怠感・腹部全体の圧痛・ドレーンチューブからの排液量の増加、および新たな腸管皮膚瘻の出現を主訴に再入院となり、同年9月、回腸部分切除術、上行結腸チューブ減圧瘻造設術施行された。術後、腹腔内膿瘍に対してドレナージチューブが留置されており、正中創は離解したままでCRPも4-7mg/dl台で推移していた。絶食・持続点滴、アザチオプリン増量、顆粒球除去療法を施行したが、改善しなかったため、11月にアダリムマブ(ADA)の承認に伴い導入を試みた。160mgで導入した2週間後にCRP値0.39mg/dl、4週間後に0.03mg/dlと改善傾向を認め、その後、正中ドレーン排液の減少、チューブの自然抜去となり現在経過良好である。【考察】クローン病に対するADAは、IFXに次ぐ生物学的製剤として保険収載された。今回、既存の内科的加療に抵抗性でIFX副作用例の、術後腹腔内膿瘍、腸管皮膚瘻に対して、ADAが著効した一例を経験した。海外に比して本邦ではその使用経験もまだ少なく、文献的考察を含め報告する。
索引用語 クローン病, アダリムマブ