セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 正常肝から発生した硬化型肝癌に対し、TACEおよび胆管持続潅流下RFAを施行した1例 |
演者 | 中西 啓祐(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科) |
共同演者 | 久保 卓也(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 豊原 眞久(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 中村 麻衣子(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 北川 洸(国保中央病院 内科), 相原 洋祐(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 森岡 千恵(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 野口 隆一(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 吉田 太之(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 池中 康英(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 美登路 昭(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 吉治 仁志(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 山尾 純一(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医科大学 消化器・内分泌代謝内科) |
抄録 | 【症例】79歳、男性。【既往歴】70歳時に大腸癌手術。【家族歴】兄:癌(詳細不明)。【現病歴】平成14年大腸癌に対して手術加療を受け、平成16年頃まで通院加療を受けていた。平成19年からCKD stage3、高血圧等に対して当院循環器内科に通院していた。平成22年6月に大腸癌術後follow目的で施行された腹部単純CTで肝S6に径26mm大の低濃度腫瘤を指摘され、同年8月に腹部エコー、10月にMRIでも精査したところ肝原発の悪性腫瘍が疑われたため、10月19日に精査加療目的で当科を紹介受診。当科で更に造影MR、造影USを追加し、腫瘍マーカーも合わせて混合型肝癌または胆管細胞癌を疑い、単発であり手術適応と判断し当院消化器外科に紹介した。しかし患者本人が内科的治療を強く希望したため平成23年1月10日に当科入院となった。【入院後経過】第3病日に肝生検および腫瘍生検を施行。背景肝はごく軽度の炎症細胞浸潤のみで特異的な所見を認めなかった。また腫瘍部は豊富な間質を伴い泡沫状から顆粒状の好酸性細胞質を有する低分化な腫瘍細胞が充実胞巣状主体に増生し、一部紡錘形の成分、索状構造が見られた。免疫染色ではHSA(+)、CK19(-)、CEA(-)を示し、紡錘形の成分はHSA(-)、サイトケラチン(-)であり硬化型肝細胞癌と診断された。腫瘍内に多血性の領域を多く残しており先ず第10病日にTACE施行。効果判定のため第16病日に腹部造影エコー施行し腫瘍内部の血流残存を認めた。腫瘍がS6肝門部に存在し胆管と近接していたため第31病日にENBD tube留置し、同日胆管持続潅流下RFAを施行。術後経過は良好で、第36病日に施行した腹部造影エコーで腫瘍内部の血流信号消失を認めたため第39病日に退院した。【考察】硬化型肝細胞癌は原発性肝癌の1.1~3.8%と稀な疾患である。本疾患は通常型肝細胞癌と比較してB型肝炎ウイルス陽性例に多いとされるが、本例ではHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体全て陰性であった。また背景肝の肝生検組織でも特異的な所見を認めていない。正常肝に発生した硬化型肝細胞癌の報告例は極めて稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 硬化型肝細胞癌, ENBD |