セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | 肝細胞癌に対するLip-TAI後に多発肝膿瘍を認めた1例 |
演者 | 乙宗 宏範(東大阪市立総合病院 消化器内科) |
共同演者 | 高田 早苗(東大阪市立総合病院 消化器内科), 石見 亜矢(東大阪市立総合病院 消化器内科), 山口 利朗(東大阪市立総合病院 消化器内科), 岸 愛子(東大阪市立総合病院 消化器内科), 俵 誠一(東大阪市立総合病院 消化器内科), 赤松 晴樹(東大阪市立総合病院 消化器内科), 飯尾 禎元(東大阪市立総合病院 消化器内科), 小林 一三(東大阪市立総合病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は66歳女性。40歳代でHBV感染を指摘され、近医通院中であった。2009年9月上旬、他院の腹部造影CTにて肝に多発早期濃染を認めて肝細胞癌が疑われ、経過観察されていたが、2010年3月中旬に精査目的で当院に紹介となった。腹部造影CTでS6に23mmの淡濃染を認め、肝細胞癌が疑われた。EOB-MRIにてその他にも腫瘤を複数認め、多発肝細胞癌が疑われた。腫瘍マーカーはAFP 9.1ng/mlと正常値であった。肝予備能はChild-Pugh score 9点と良好ではなかったが、本人希望が強いため治療を行うこととなった。6月に血管造影を行ったところ、肝実質の濃染は非常に不均一で、再生結節が多発しており、腫瘍濃染の同定が困難であったが、右肝動脈にカテを留置してのCone-beam CTでS6に2cm強の淡い早期濃染を確認した。しかしA6選択的造影ではやはり肝細胞癌と断定できる濃染は指摘できなかった。肝機能不良であるためA6、RPSAよりエピルビシンとリピオドールの動注を施行した。術後に肝予備能が一時的に悪化したが、治療より10日後の採血ではChild-Pugh score 9点に回復したため退院となった。7月の採血ではChild-Pugh score 8点であり問題はなかった。しかし8月下旬より37度台の微熱が出現した。9月の外来受診時の採血にて肝予備能がChild-Pugh score 10点に悪化しており、腹部造影CTにて肝右葉後区域に多発膿瘍を認めた。本人と家族は入院を拒否されたため、抗生剤内服投与を開始し、外来にて経過観察していた。しかし肝不全が急速に進行し、10月に死亡された。肝細胞癌に対するLip-TAI後に多発肝膿瘍を認めた1例を経験したので、若干の文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 肝膿瘍, TAI |