セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル

B型慢性肝疾患に対するラミブジン+アデホビル治療の有効性を規定する因子の検討

演者 水本 塁(市立池田病院 消化器内科)
共同演者 澤井 良之(市立池田病院 消化器内科), 卜部 彩子(市立池田病院 消化器内科), 大西 孝典(市立池田病院 消化器内科), 倉橋 知英(市立池田病院 消化器内科), 牧野 祐紀(市立池田病院 消化器内科), 宇都宮 大輔(市立池田病院 消化器内科), 大濱 日出子(市立池田病院 消化器内科), 小来田 幸世(市立池田病院 消化器内科), 松本 康史(市立池田病院 消化器内科), 中原 征則(市立池田病院 消化器内科), 井倉 技(市立池田病院 消化器内科), 厨子 慎一郎(市立池田病院 消化器内科), 福田 和人(市立池田病院 消化器内科), 今井 康陽(市立池田病院 消化器内科), 黒川 正典(市立池田病院 消化器内科), 三田 英治(国立大阪医療センター 消化器科)
抄録 【目的】B型慢性肝疾患の治療において、ラミブジン(LAM)に対する薬剤耐性に対する治療法としてアデホビル(ADV)の併用投与が行われているが、ウイルス量の低下に乏しい症例が散見される。そこで我々は、LAM+ADV併用療法の有効性を規定する因子について検討した。【対象・方法】当院で2003年6月より2010年1月までにLAM+ADV投与を行ったB型慢性肝疾患24例のうち、ADV投与開始後3年間観察しえた17例を対象とした。男性10例、女性7例、平均年齢60.4+11.0歳(40~72歳)、慢性肝炎10例、肝硬変7例、ADV投与時HBe抗原陽性例5例、YIDD変異15例、YVDD変異1例、YIDD+YVDD変異1例、LAM単独投与期間10.6+5.3ヶ月(10~60ヶ月)、LAM+ADV併用投与期間は54.4+14.3ヶ月(36~90ヶ月)であった。LAMは100mg/day、ADVは10mg/day投与を行った。HBVDNA2.6logcopy/ml未満(PCR法)または検出感度以下(リアルタイムPCR法)を陰性化群とし、Cox比例ハザードモデルを用い陰性化に関する因子を検討した。【結果】1)LAM+ADV併用投与1、2、3年後のKaplan-Meie法によるHBVDNA累積陰性化率は72.5%、82.4%、88.3%であった。2)HBVDNA陰性化に関する因子の検討のため、年齢、性別、BMI、硬変変化の有無、IFN治療歴、YMDD変異株の種類、LAM+ADV併用投与期間、ADV投与開始時のHBe抗原の有無、ALT、T-Bil、Plt、Alb、HBVDNA量、投与開始6ヶ月以内にDNA量が4logcopy/ml以下に低下(IVR; initial viral response)の有無についてCox比例ハザードモデルを用いた単変量解析を行ったところ、ADV投与開始前のHBVDNA量(P=0.006)、ADV投与後IVRの有無(P=0.002))がHBVDNA陰性化に関与する因子として選択された。【結語】LAM+ADV併用療法において、HBVDNA陰性化に至らない症例を認めた。陰性化にはADV投与開始前のHBVDNA量が低値、ADV投与後IVRの有無が関与している可能性が示唆された。
索引用語 B型肝炎, ウイルス