セッション情報 一般演題

タイトル

肝内胆管乳頭状粘液産生腫瘍の一例

演者 小山 貴弘(兵庫県立塚口病院 消化器内科)
共同演者 岡本 朋子(兵庫県立塚口病院 消化器内科), 宋 泰成(兵庫県立塚口病院 消化器内科)
抄録 【はじめに】胆管内乳頭状粘液産生腫瘍(IPNB)とは、肝内外の胆管内腔で胆管被覆上皮が乳頭状に発育し、しばしば粘液過剰産生や胆管拡張を示す腫瘍として知られ、膵の乳頭状粘液産生腫瘍(IPMN)に類似した腫瘍とされている。【症例】76歳 女性【主訴】上腹部痛、悪心、嘔吐【既往歴】36年前 胆のう結石(胆摘術)、高脂血症【現病歴】2009年8月頃より上腹部痛、悪心、発熱が出現。11月に近医受診。血液検査で肝胆道系酵素上昇、CRP軽度上昇、CEA 100ng/mlと上昇を認め、腹部エコー検査では肝内胆管、総胆管の著明な拡張を認めた。先天性胆道拡張症、胆管癌を疑われ、11月9日当院を紹介受診。翌日入院となった。【入院時所見】上腹部正中に手術痕あり、上腹部圧痛を認めた。【画像所見】腹部造影CT検査で肝内胆管、総胆管の著明な拡張を認め、腹部エコー検査でも同様の所見認め、総胆管内に胆泥が疑われた。MRCP検査では胆道の著明な拡張認めたが、狭窄像はなかった。ERCP検査では十二指腸乳頭の腫大や開口部開大なく、また膵胆管合流異常もなかった。DIC-CT検査で左肝内胆管途絶像、左肝内胆管、総胆管に陰影欠損があり、左肝内胆管の多房性嚢腫状変化を認め、以上よりIPNBが疑われた。PET/CT検査で肝左葉にFDG高集積を認めた。胆道精査のためPOCS施行し、乳頭状の変化は確認できなかったが、多量の粘液の充満を認めIPNBと診断した。肝門部の胆管の生検行うも悪性像は認めなかった。【経過】くり返す胆管炎と悪性変化を考慮し、手術適応と考え、県立尼崎病院外科へ紹介。同院で拡大左葉切除+総胆管切除+胆道再建術が行われた。【病理】肝左葉外側区域は著明な萎縮認め、内部に3.5cm大の硬い腫瘍を認めた。病理で胆管上皮の乳頭状増殖認められ、間質との境界も一部不明瞭とであった。組織は上皮内癌、粘液癌、腺腫様と多彩な変化があり、5番リンパ節転移または神経浸潤が疑われた。切除胆管内上皮は乳頭状腺腫が拡がっており、切除断端も乳頭状腺腫であった。免疫染色はMUC2(+)、MUC5AC(+)、MUC6(-)であった。
索引用語 IPNB, 胆管内乳頭状粘液産生腫瘍