セッション情報 |
シンポジウム2「下部消化管疾患における画像強調内視鏡の活用」
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タイトル |
大腸病変に対するNBI拡大・色素拡大の内視鏡診断能に関する検討
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演者 |
福永 周生(大阪市立大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 |
町田 浩久(大阪市立大学大学院 消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学大学院 消化器内科学) |
抄録 |
【背景】大腸病変に対する拡大内視鏡観察を用いたpit pattern診断は、腫瘍/非腫瘍の鑑別や癌の深達度診断において有用である。さらに近年Narrow-band imaging (NBI)が登場したことで病変表層の微小血管形態や表面構造の詳細観察が可能となったことから、新たな診断技術や分類が報告されている。内視鏡診断や分類の標準化には診断の再現性が重要であるが、interobserver におけるpit pattern診断とNBI拡大診断の一致率を検討した報告は少ない。【目的】Capillary pattern分類(CP分類)を用いたNBI拡大とpit patternを用いた色素拡大の大腸病変に対する質的診断の有用性とinterobserverの一致率を検討する。【対象と方法】2008年5月から2009年5月までに、当院でNBI拡大観察および色素拡大観察を行った後に内視鏡的切除を行った15mm以下の大腸病変の中で、病理学的評価が可能であった131病変を対象とした。NBI拡大観察および色素拡大観察で得られた画像から各1~3枚を選択し無作為に並べ替えた後に、NBI拡大観察・色素拡大観察経験3年以上の内視鏡医3人が質的診断について評価を行った。NBI拡大観察にはCP分類を用い、CP type I を非腫瘍、CP type II・IIIA・IIIBを腫瘍と判断した。色素拡大観察には工藤・鶴田分類を用い、I・II型pit patternを非腫瘍、IIIs・IIIL・IV・V型pit patternを腫瘍と判断した。また、interobserverの診断の一致率の検討にはCohenのκ係数を用いた。【結果】両分類を用いた腫瘍・非腫瘍における正診率は、CP分類 86.8%、工藤・鶴田分類 86.6%であった。interobserverの一致率 (κ係数) は、CP分類 0.59であったのに対し、工藤・鶴田分類 0.77であった。腫瘍・非腫瘍におけるinterobserverの一致率は、NBI拡大観察 0.721、色素拡大観察 0.917であった。【結論】大腸病変に対するCP分類を用いたNBI拡大観察は、腫瘍・非腫瘍の鑑別に有用、かつinterobserverの一致率は良好であった。また色素拡大観察の併用は、interobserverの一致率の上昇に寄与した。 |
索引用語 |
NBI, 拡大内視鏡 |