セッション情報 ワークショップ1「上部消化器及び小腸出血における最近の動向」

タイトル

胃腫瘍ESDにおける後出血例の検討と対策

演者 朝隈 豊(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 松井 繁長(近畿大学 医学部 消化器内科), 大本 俊介(近畿大学 医学部 消化器内科), 高山 政樹(近畿大学 医学部 消化器内科), 峯 宏昌(近畿大学 医学部 消化器内科), 永井 知行(近畿大学 医学部 消化器内科), 永田 嘉昭(近畿大学 医学部 消化器内科), 川崎 正憲(近畿大学 医学部 消化器内科), 櫻井 俊治(近畿大学 医学部 消化器内科), 樫田 博史(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
抄録 【目的】胃腫瘍ESDにおける後出血例の臨床的特徴と対策を検討した。【定義】後出血は吐下血を来たすかもしくはHb2g/dl以上の低下を認めたものとした。【検討1と結果】対象は2002年7月から2007年12月までに胃腫瘍に対してESDを施行した330例、386病変。術後翌日に内視鏡検査を行い、露出血管を認めれば止血処置を行った。後出血は15例(3.9%)あり、L領域10例、病変2cm超10例で有意に高かった(P<0.05)。13例(87%)は術後24時間以内に後出血を来したが、全例内視鏡的止血処置に成功した。8例に肝硬変などの基礎疾患があった。【検討2と結果】2008年1月から2011年3月までに胃腫瘍に対してESDを施行した324病変。L領域で2cm超の病変にESDを施行した症例は3時間後に内視鏡検査を行い、それ以外は翌日観察とした。露出血管を認めれば予防的止血処置を行った。3時間後観察は49例で予防止血を行ったのは18例(5.6%)であった。後出血は3例(0.9%)であった。【考察】ESDによる人工潰瘍からの後出血対策としてPPI投与、ESD直後の潰瘍底の露出血管に対する入念な凝固処置などがあげられる。しかし、このような対策をしても後出血はあり、特にL領域の2cm超の病変に多く認められた。これは、蠕動運動による刺激、ESD直後では局注液残存により露出血管がマスクされ未処理に終わることなどが原因として考えられた。後出血例の臨床的特徴からハイリスク群を検討し、その群の患者において対策としてESD3時間後の内視鏡観察は後出血予防に有用であった。
索引用語 ESD, 後出血