セッション情報 |
シンポジウム1「進行肝細胞癌に対する治療戦略」
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タイトル |
進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与例におけるSDの持続期間と生存期間の検討
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演者 |
有住 忠晃(近畿大学 医学部 附属病院) |
共同演者 |
上嶋 一臣(近畿大学 医学部 附属病院), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 附属病院) |
抄録 |
【目的】ソラフェニブは進行肝細胞癌に対して延命効果が証明されている分子標的薬である。今回当院でソラフェニブ投与例において、病勢安定(SD)の持続期間という観点から生存期間(OS)に与える影響について比較検討を行った。【対象】当院で2009年5月から2010年11月までに進行肝細胞癌に対してソラフェニブを導入した112例を対象とした。その中からmodified RECIST基準により治療効果判定を行い部分奏効(PR)もしくはSDと診断された症例を抽出しSDの期間とOSとの関係を検討した。【結果】CR/PR/SD/PD=2/16/37/27であった。平均観察期間は7.7か月であった。PR症例においては、Child-Pugh A/B=14/2、Stage III/IVA/IVB=6/4/6、HBV/HCV/NBNC=4/9/3であり、SD症例においては、Child-Pugh A/B=31/6、Stage III/IVA/IVB=18/10/9、HBV/HCV/NBNC=5/20/12であった。SDの持続期間の中間値は3.3か月であった。SDの持続期間が3か月未満と3か月以上の2群に分け、PRとの生存期間の関係を比較した。SDの持続期間が3か月未満のOSの中央値5. 8か月(95%C.I. 4.5-7.0)、SDの持続期間が3か月以上のOSの中央値は17.2か月(95%C.I. 11.2-23.1)、PRのOSの中央値は17.9か月(95%C.I. 10.2-25.5)であり、SDの持続期間が3か月以上の群とPR症例のOSには統計学的に差がなかった。【結論】進行肝細胞癌患者にするソラフェニブ治療においてSDが3か月以上持続すればPRと同等のOSが得られた。できる限り有害事象をコントロールし、Long SDを目指した投与を行うことでOSが改善されることが示唆された。 |
索引用語 |
肝細胞癌, ソラフェニブ |