セッション情報 一般演題

タイトル

Dabigatran使用中に下部消化管出血をきたした一例

演者 近藤 尚(市立豊中病院)
共同演者 林 史郎(市立豊中病院), 齊木 浩二(市立豊中病院), 澤村 真理子(市立豊中病院), 高橋 啓(市立豊中病院), 印藤 直彦(市立豊中病院), 神下 真廣(市立豊中病院), 中堀 輔(市立豊中病院), 山本 克己(市立豊中病院), 渋谷 充彦(市立豊中病院), 市場 誠(市立豊中病院), 福井 浩司(市立豊中病院), 稲田 正巳(市立豊中病院)
抄録 【症例】70歳代 女性【主訴】下血【既往歴】心房細動、心原性脳梗塞、変形性膝関節症【内服歴】発症3日前に近医でワーファリン5mgからDabigatran(商品名:プラザキサ)110mgに変更、アムロジン、プラバスタン、ビタノイリン【現病歴】2011年5月17日夜、排便時に鮮血下血を認めた。その後も下血を繰り返したため当院、救急外来を受診された。来院時意識清明で軽度の血圧低下と頻脈を認めた。直腸指診で鮮血の付着を認めたが、腹部異常所見を認めなかった。採血検査ではHGB 8.5 g/dlの貧血に加えPT INR 1.58と軽度延長を認めた。【入院後経過】第1病日の大腸内視鏡検査では大腸憩室と少量粘血便を認めるのみで活動性の出血は否定的であった。腹部CTではS状結腸憩室、上行結腸の壁肥厚と周囲リンパ節腫大を認めた。貧血に関しては平常時HGB12g/dl台であったのでMAP4単位輸血を行った。絶食の上Dabigatran内服中止として保存的治療を行った。第6病日より食事開始、同時にDabigatran内服も再開とした。第8病日に行った大腸内視鏡検査において出血は認めなかったが、S状結腸の憩室と3型の上行結腸癌を認めた。その後著変なく経過し、手術予定として一旦退院となった。【考察】Dabigatranは直接トロンビン阻害剤である。非弁膜症性心房細動患者の抗血栓療法においてワーファリンとの非劣性が証明され、本邦でも2011年3月に保険承認された。ワーファリンと比べ管理の簡便さが期待され今後使用例が増えると考えられるが、現時点では使用経験も少なく不明な点も多い。今回我々はDabigatran使用中に消化管出血を来たした一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 dabigatran, 消化管出血