セッション情報 一般演題

タイトル

エストロゲン製剤による薬剤性膵炎の2症例

演者 妹尾 紅未子(社会医療法人 誠光会 草津総合病院 消化器内科)
共同演者 橋本 高芳(社会医療法人 誠光会 草津総合病院 消化器内科), 伊藤 明彦(社会医療法人 誠光会 草津総合病院 消化器内科), 中村 文泰(社会医療法人 誠光会 草津総合病院 消化器内科), 小山 茂樹(社会医療法人 誠光会 草津総合病院 消化器内科)
抄録 【症例1】24歳女性。2010年7月より月経不順に対してエストロゲン製剤の内服開始。2011年2月に心窩部痛が出現し当院受診。腹部CTで膵全体の軽度の腫大、血清アミラーゼ1287U/L、血清リパーゼ645U/L、尿中アミラーゼ4381IU/Lと上昇を認め、急性膵炎と診断。内服中のエストロゲン製剤を中止し膵炎治療を開始した。治療に反応し自覚症状は改善し、膵酵素は徐々に低下した。胆道疾患や十二指腸疾患なく、飲酒歴なし。脂質代謝異常や血液凝固異常は認めなかった。【症例2】28歳女性。4年前から月経不順に対してエストロゲン製剤の内服開始。2011年5月に心窩部痛と嘔吐を主訴に当院受診。腹部CTで膵全体の軽度の腫大、血清アミラーゼ334U/L、リパーゼ76U/L、尿中アミラーゼ1129IU/Lと上昇を認め、急性膵炎と診断。内服中のエストロゲン製剤を中止し膵炎治療を開始した。治療に反応し、自覚症状は改善し、膵酵素も低下した。胆道疾患や十二指腸疾患なく、飲酒歴なし。脂質代謝異常や血液凝固異常も認めなった。【考察】薬剤性膵炎の原因薬剤としてエストロゲン製剤の占める割合は5%と報告されている。エストロゲン投与により2次的に誘発された高脂血症や血液凝固能の亢進との関連が考えられているが、今回の2症例はいずれもこれらの異常は認めなかった。膵腺房細胞にエストロゲン受容体が存在するという報告もあり、直接作用している可能性が考えられた。
索引用語 薬剤性膵炎, エストロゲン製剤