セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル

巨大肝嚢胞15病変に対する塩酸ミノサイクリン注入療法の検討

演者 岩谷 修子(大阪府立急性期・総合医療センター)
共同演者 西山 範(大阪府立急性期・総合医療センター), 田畑 優貴(大阪府立急性期・総合医療センター), 野崎 泰俊(大阪府立急性期・総合医療センター), 高田 良司(大阪府立急性期・総合医療センター), 藤永 哲治(大阪府立急性期・総合医療センター), 澁川 成弘(大阪府立急性期・総合医療センター), 石井 修二(大阪府立急性期・総合医療センター), 入江 孝延(大阪府立急性期・総合医療センター), 鈴木 貴弘(大阪府立急性期・総合医療センター), 春名 能通(大阪府立急性期・総合医療センター), 井上 敦雄(大阪府立急性期・総合医療センター)
抄録 【目的】2004年10月から2011年4月までの間に、画像診断にて最大径8cm以上の巨大肝嚢胞を有した14例15病変について、嚢胞ドレナージ術と塩酸ミノサイクリン注入療法の治療効果をretrospectiveに検討した。【方法】対象は巨大肝嚢胞による症状を有した14例15病変で、そのうち1病変(7%)はエタノール注入療法歴のある再発例であった。治療対象となった肝嚢胞の最大径は平均15.7 cm(8-27cm)、存在部位は左葉4(26%)病変、右葉11(74%)病変であった。症状は腹部膨満感6例(40%)、心窩部違和感3例(20%)、発熱2例(13%)、水腎症1例(7%)、他2例(13%)は無症状であった。ドレナージ術は経皮経肝的に腹部超音波ガイド下・X線透視下に行い、7Frピッグテールカテーテルを挿入・留置し、持続ドレナージを施行。ドレナージ排液が1日100ml以下に減少した後、嚢胞癒着目的で嚢胞内へ塩酸ミノサイクリン溶解液の注入を行った。1回注入量は嚢胞のサイズに応じて800~1200mgとし、週2回で4週間の計8回投与予定とした。【成績】15病変のうち8回以上の注入療法を施行できたのは2病変(13%)のみであった。それ以外の症例では、注入を1~2回注入した症例が3病変(20%)、3から7回注入した症例が10病変(67%)であった。嚢胞が著明に縮小したためカテーテル位置が偏位し注入不可能となったものが3病変で認めた。いずれの症例もカテーテル留置中に肝膿瘍、出血などの大きな合併症なく経過し、症状の改善を認めた。術後2病変(13%)は再発し、いずれも初回治療の1年後に再発したため再治療に至っている。【考察】再発率は13%であったが再治療にて治癒に至っており、また大きな偶発症もなく有効な治療法と考えられた。注入時および注入後に疼痛や発熱を来たす事が多く、予定注入量に至らなかった症例もあり、注入時の疼痛対策が必要である。【結語】症状を伴う巨大肝嚢胞に対する塩酸ミノサイクリン注入療法は安全かつ比較的再発の少ない有用な治療法と考えられた。若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝囊胞, 塩酸ミノサイクリン