セッション情報 一般演題

タイトル

肝細胞癌に対し長期に渡るsorafenib投与が奏功した2症例

演者 高田 良司(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科)
共同演者 春名 能通(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 岩谷 修子(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 野崎 泰俊(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 田畑 優貴(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 藤永 哲治(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 澁川 成弘(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 石井 修二(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 西山 範(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 入江 孝延(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 鈴木 貴弘(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科), 井上 敦雄(大阪府立急性期・総合医療センター 消化器内科)
抄録 症例1:71歳・男性。C型慢性肝炎に対してIFN治療により完全著効が得られたが、12年後の1993年に肝細胞癌を発症し、肝切除後の再発に対して治療を繰り返していたが2009年2月の時点で横隔膜に浸潤しており、同年10月からsorafenib投与を800mg/日で開始した。sorafenib投与後2週で皮疹を認め、投与量を400mg/日に減量したが、症状の改善を認め800mg/日に投与量を戻し内服を継続した。内服開始11週目から3-4行/日の水様便が出現し内服開始14週のCTで上行結腸から横行結腸まで腸管の著明な浮腫像を認めたため400mg/日に減量し観察したところ下痢症状は速やかに軽快し、CT上の浮腫像は消失していた。内服開始26週で肺転移が出現したが、内服は継続した。その後、肝機能障害、高アミラーゼ血症により内服開始53週からsorafenibは400mg隔日投与に減量した。その後の経過中にAFPとPIVKAは著減し、またCTでも横隔膜病変および肺転移巣は縮小傾向を認めている。症例2:80歳・女性。C型慢性肝炎を基礎に肝細胞癌を発症し2007年1月に肝S6の径40mmの肝細胞癌に対してTACEが施行されたが、4週後CTにてLp集積部の一部に25×14mmの早期濃染をもった陰影欠損が認められた。2007年3月に再度TACEが施行されたが、術後4週のCTで19×17mmの早期濃染部位として残存した。5月よりsorafenibの治験に参加し初回800mgの投与で開始した。開始後2ヶ月のCTでは陰影欠損は12×7mmに縮小し早期相、門脈相ともにLDAに変化した。6月には手足皮膚症状のためsorafenibを400mgに減量。4ヶ月後のCT以降の陰影欠損は径7mmのLDAに縮小したまま経過。この間、食思不振、下痢や高血圧が見られたがsorafenib400mgを継続投与が可能であった。2009年12月老人性うつ病に起因すると考えられる自殺企図がみられ、本人の希望もありsorafenibを中止。その後も2011年5月のCTに至るまでLDAの変化は見られていない。まとめ:種々の副作用の出現に対処しつつ、長期間に渡るsorafenib投与を継続したことにより、PR、CRが得られた症例を経験した。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ