セッション情報 |
シンポジウム1「進行肝細胞癌に対する治療戦略」
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タイトル |
進行肝細胞癌に対する分子標的治療を先行した肝切除の妥当性
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演者 |
土師 誠二(大阪府済生会中津病院 外科DELIMITER近畿大学医学部外科) |
共同演者 |
上嶋 一臣(近畿大学医学部消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学医学部消化器内科), 竹山 宜典(近畿大学医学部外科) |
抄録 |
【目的】分子標的治療薬の導入により進行肝細胞癌治療に新たなオプションが加えられたが、進行肝細胞癌に対する分子標的治療薬(ソラフェニブ)投与の適応は、切除不能もしくはTACE不応例とされている。しかしながら、分子標的治療により奏功が得られた症例では、残存もしくは治療不応病巣に対する外科治療の導入も検討に値する。今回、ソラフェニブ投与後に外科的治療を行った4症例を経験したので、その妥当性について検討した。【対象および結果】症例の内訳は、男性3例、女性1例、全例Child-Pugh分類Aで、Stage IV-Aが1例、Stage IV-Bが3例であった。外科治療の内訳は、肝S4aS5切除+S6切除1例、肝左葉切除+脾摘(血小板減少のため)1例、肝右葉切除1例、副腎切除1例を施行、また術前3週間はソラフェニブを休薬した。Stage IV-Bの3例ではいずれも多発肺転移がソラフェニブ投与により縮小が得られ、残存もしくは増悪する肝病巣、副腎病巣に対して外科治療の適応と判断し切除を施行した。Stage IV-Aの1例では、癌破裂を伴う多発肝細胞癌に対してソラフェニブ+肝動注療法を施行し、病巣進展の制御が得られたため肝切除を施行した。術後合併症は腹腔内感染症を1例に認めた。転帰は、2例では腫瘍マーカーは正常化したが、2例では癌病巣が増悪した。【結語】切除不能の進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与後の外科的治療は比較的安全に施行可能であった。外科治療の導入は、外科治療により病巣が完全に制御可能と判断できる場合が妥当であると考えられた。 |
索引用語 |
肝細胞癌, 分子標的治療 |