セッション情報 |
シンポジウム2「下部消化管疾患における画像強調内視鏡の活用」
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タイトル |
NBIを用いた大腸腫瘍性病変検出力向上の可能性について
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演者 |
堀松 高博(京都大学大学院医学研究科 消化器内科学) |
共同演者 |
池松 弘朗(国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科), 佐野 寧(佐野病院), 斎藤 豊(国立がん研究センター中央病院 消化管腫瘍科) |
抄録 |
【背景】NBI (Narrow Band Imaging)とは、生体粘膜の吸収特性及び照明光深達度の波長依存性に着目し、内視鏡的に生体粘膜浅層の毛細血管及び微細構造を強調する視認性向上を狙う技術である。その技術背景より従来の白色光 (WLI: White Light Imaging)に比べてNBIは大腸腫瘍性病変の検出力向上に寄与する可能性が考えられたが、現在までの報告は大部分が単施設での報告で、結果は様々である。【目的】NBIを用いた大腸内視鏡観察が腫瘍性病変検出力向上に寄与するか多施設無作為ランダム化比較試験にて検証する。【試験方法】盲腸まで内視鏡挿入後、割り付けされたWLIもしくはNBIにて右側結腸(盲腸より脾彎曲部まで)を観察抜去し、その後再度盲腸まで挿入後に割り付けされた観察方法と別の方法(初回WLIならNBI, NBIならWLI)で観察抜去を行い(Modified Back-to-Back Colonoscopy)、それぞれにおける腫瘍性病変の検出割合を主要評価項目、見逃し率を副次的評価項目とした。なおNBIのモードは構造強調A-5,色彩3を使用した。【結果】813人が登録され前処置不良等で31人が除外、最終的には初回NBI→WLI(A群)に389人、初回WLI→NBI(B群)に393人が割りつけられた。性別,年齢,検査目的及び抜去観察時間には両群とも有意差は認めなかった。腫瘍性病変が発見された患者はA群:165人(42.3%),B群:167人(42.5%)【P=0.98】で有意差は認めなかった。なお、腫瘍性病変の見逃し率はA群:21.3%,B群:27.8%【P=0.03】でNBI先行群の見逃し率が低かった。【結論】現行のNBIシステムでは腫瘍性病変検出力向上には寄与しえなかった。しかし、NBI観察群で見逃しが少なくNBIを用いた観察の有用性が示唆された。 |
索引用語 |
NBI, 病変検出力 |